姜維立志伝−天翔る龍を見よ−

はるか二千年の時を超えて
今もなお燦然と輝く
三国志の英雄たち――

これは
魏に生まれた姜維が
数奇な運命によって蜀に導かれ
劉備から諸葛亮へと引き継がれた
大いなる夢を
ともに戴くまでの物語である


第一章 関中の風       姜維伯約、16歳。母の期待を一身に負いながら、男児の夢は常に乱世の天地に。
第二章 母の悲しみ      母との決別を越えて――。伯約は今、故郷を後に、自由な大地へはばたく。
第三章 天地慟哭す      世の乱れに、いつも泣かされるのは罪なき民草か。伯約の剣が吼える。
第四章 邂  逅       そのひとの名は諸葛亮孔明。運命の宿星がついに出会う――。
第五章 大志あり       三国の英雄、劉備玄徳。君よ、知るや、その胸に秘められし熱き志を。
第六章 我が名は姜維


主な登場人物 (第一章〜第五章)
■姜維伯約 本編の主人公。16歳で生まれ故郷の天水郡(魏)を飛び出し、各地を放浪している。真に仕えるべき主を求めるとともに、この乱世をいかに生きるか、己の進む道をさぐっている多感な若者。
■諸葛亮孔明 漢室の末裔である劉備に天下三分を献策し、蜀を興さしめた大軍師。蜀漢の丞相として多忙な日々を送りながら、己の後継者となり得る逸材を探している。
■陳涛文桓 諸葛亮の古い友人であると同時に、細作集団である「荊州耳目」の頭領。ふだんは旅回りの一座を率いて各地を回り、情報を集めている。
■イルジュン 姜維の家の下僕であり、幼い頃から兄弟のように育った友人でもある。常に姜維の側に仕え、その危機を救う。
■愛玲 姜維の母。息子に姜家再興の望みを託し、学問を励ますが…。
■春英 陳涛一座の少女。野盗にさらわれたところを姜維に救われ、お互いに好意を抱くようになる。
■桂華 孔明の妻。荊州の有力者黄承彦の娘。美人ではないが、夫の心をよく斟酌し、気遣う賢夫人。
■牙狼 冷酷無比な野盗の首領。兄である司馬懿の命を受け、裏の働きをしている。姜維とは宿命のライバルとなる。
許範 趙雲や牙狼の槍術の師匠でもある武道家。姜維のよき師となる。
劉備玄徳 蜀漢皇帝。諸葛亮の主君。義弟関羽の仇を討つため呉に出兵するが、夷陵で大敗し、白帝城で帰らぬ人となる。
馬謖幼常 蜀の文官。白眉と名高い馬良の弟。孔明の信任厚い秀才である。
趙雲子龍 蜀の五虎将軍の一人で槍術の名手。孔明の最も信任厚い武将。


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