この作品は、ほぼプラトニックではありますが、全体のトーンは微乙女風味であり、また、ごく一部(十二章)に女性向な表現を含んでいます。そういったものがお嫌いな方、そんな沖田と土方なんて許せない!という方は、右のBACKでお戻りください。   



土方さん。私はどこまでもあなたについていきますよ。



桜の散り様は見事だけれど……、
春の淡雪と同じで、落ちれば消えてしまう儚いものですね――。

ひとの世もそうではないか。
命も、夢も、すべては瞬時の幻にすぎない。
だからこそ、ひとは、限られた生を精一杯生きているのだ。

(終章 「終焉、あるいは出発」より)


花は散るからこそ美しい


土方さん、ほら、雪ですよ… 雪の記憶 流山に発つ前日、土方は病床の総司を見舞う。
新選組。幕末の京洛を震撼させた、この著名な暗殺集団の中核をなしたのは… 修羅の巷へ 新選組としての日々、それは総司にとって修羅の道だった。
池田屋 池田屋での乱戦の最中に喀血した総司は、自分の命が永くないと知る。
紫陽花に降る雨 自分にとって恋は無用のもの。そう呟く総司の脳裏に、懐かしい土方の笑顔がよみがえる。
波紋 池田屋事件をきっかけに、土方と山南の亀裂が深まってゆく。
この胸の燃ゆる想いを 思いがけない土方の告白。総司は初めて、自分の想いに気づく。
千穂 土方が惚れたという女性は、どこか姉のお光に似ていた。
月影五条坂 もし千穂が長州の間者なら……。総司はある決意を持って彼女を訪ねる。
嫌われ歳三 伊東甲子太郎一派の加盟に、土方は嫌な予感を抱く。
山南敬助始末 総司は、隊を脱走した山南を追いかけて連れ戻し、切腹の介錯をする。
春雷は夜空を斬り裂く 「江戸へ帰れ」思いがけない土方の言葉に、総司は我を忘れてしまう。
十一 凶弾 土方を狙う桂の銃口。身を挺して土方をかばった千穂は凶弾に斃れる。
十二 雪の色 「俺ではだめですか?」千穂を失った土方に、ついに総司は……。
終焉、あるいは出発 北へ向かう土方に総司は言った。「どこまでもついていきますよ」と。
おまけ あとがきもしくは言い訳 ようやく完結いたしました。語り部の言い訳と、オマケなど。


登場人物紹介
沖田総司 新選組一番隊組長。労咳に冒されながらも、純粋な心を失わない若き天才剣士。土方を兄のように慕っているが……。
土方歳三 鬼の副長。総司には優しい一面を見せるが、隊士たちからは恐れられている。新選組のためなら、とことん冷徹になれる男。
近藤 勇 新選組局長。土方とは幼馴染で、強い信頼関係で結ばれている。隊士たちの人望もあるが、政治好きな一面も。
山南敬助 新選組総長。まじめで人当たりもよく、土方とは対照的な人物。池田屋事件以後、次第に対立を深めていく。
原田左之助 新選組幹部。豪放で、人情に厚い好漢。密かに総司の体を気遣っている。
千穂 東山五条坂に住む武家の未亡人。土方とは相思相愛の仲らしいが、何か秘密があるようだ。


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