いにしえ夢語り蜀錦の庭言の葉つづり


空を舞う鳥のように 
−とっても長〜いあとがき−

(関平モード全開!の語り部のつぶやき)




ここしばらくの間に、一番思い入れの深さが増したのが、実は関平だったりします。
もともと気になる存在ではあったのですが、サイト開設に伴い、よもぎさんのCGに触発されたつたない詩を書いてみたのが、「関平モード」の始まり。あっという間にどんどんイメージが膨らんで、とうとうこんな小説まで書いてしまいました。
私の中の関平のイメージは、あくまでも真面目でストイックな好青年。そして、三国志にはめずらしく、ちょっぴり人間的な弱さもある、等身大の若者です。
そんなかれの、おそらく一般の三国志モノでは絶対出てこない、心のつぶやきみたいなものを書きたくて、この話を考えてみたのですが……。いやはや、やっぱり少々軟弱になってしまいましたね(汗)。

そもそも、あまりにも正史では語られることの少ない関平くん。
「関羽の子」とあるだけで、実子なのか養子なのかさえさだかではありません。結婚していたのか、子どもがいたのかどうか、一体全体何歳だったのかすら、はっきりしないのです。
それだけに、想像を膨らませる余地はたっぷりある、ともいえますね。
特に女性関係については、まったく白紙の状態ですし(笑)。

以前、よもぎさんと「関平くんにはステキな恋物語を捧げてあげたいね」などと話していたこともあって、自作の小説の中でくらい、思いっきりそういうテイストをきかせてみたかったのですけれども、とてもシャイなかれのこと、はっきり男女の物語にするにはやはり無理があるようで、なんだか中途半端なお話になってしまいました。
ここでは、関平と孫尚香はお互いにほんのりとした好意を覚えていますが、それは決して、恋愛感情と呼べるほど生々しいものではありません(今、この段階では)。
ましてや尚香は主君劉備の奥方なのですから、そんなよこしまな気持ちを微塵でも抱こうものなら、真面目な関平くんは自刎してしまうかもしれず……。

ただ、このお話には、後日譚を考えているのです。
まず、劉備と孫権の同盟が破れたため、尚香が傷心を抱いて呉に帰国する場面。語り部としてはかなりそそられるのですが、実際にはこの時、関平は劉備に従って益州に従軍中なので、期待するような(?)尚香と関平の別れのシーンというのはありえないんですね。残念〜〜。
ならばやはり、呉との戦に敗れ捕らえられた関羽と関平が、首を刎ねられる最期の場面しかない。ここで、ぜひとも尚香を登場させて、ついに恋愛感情爆発!っていうのはいかがでしょう?(どうしても、そっちに持っていきたいのね……笑)
いつになるか、またどんな形になるかわかりませんが、この続篇は、ぜひ綴ってみたいと思っています。

なお、「鳥は、空を飛べるからといって、本当に自由なのか?」というこの小品のテーマは、(お気づきの方もおられると思いますが)峰倉かずやさんのマンガ「幻想魔伝最遊記」から着想しました。
玄奘三蔵の師である光明三蔵が、まだ幼い江流(後の玄奘)に次のように語るシーンがあります。

  鳥が自由だなんて 誰が決めたんでしょうね
  たとえ思うがままに空を飛べたとて
  辿り着く地も……羽を休める枝もなければ
  翼を持ったことさえ悔やむかもしれない
  本当の自由は 還るべき場所のあることかもしれませんね…


還るべき場所――。
それを探し、それを求め、旅を続ける三蔵一行。
玄奘三蔵、孫悟空、沙悟浄、猪八戒、それぞれに傷ついた心を背負い、重い過去を引きずりながら、見えない明日を掴むために、もがき生きる若者たち。たとえ翼はなくても、精一杯今を生きることが、彼らの自由の証。
そんな彼らに、ふと関平のまっすぐな後姿が重なるような気がして……。
あ、これも、語りだすと止まらなくなるなあ。「幻想魔伝最遊記」については、また稿を改めて書いてみたいと思います。
長々と、語り部の独り言にお付き合いいただき、ありがとうございました。

関平LOVE!




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