いにしえ夢語り浅葱色の庭言の葉しずく



平助くんと私の六十日間


[エピローグ]

「平助くんへ

あれからもう一ヶ月以上たつなんて。まるで昨日のことのような、かと思えば、なんだか遠い昔のような、不思議な気持ちです。
今でも時々、東山通りの細い路地を曲がると、ふとあなたに会えそうな、そんな気がしています。
六十日間という短い間だったけど、あなたは私に、抱えきれないほどたくさんの素敵な思い出をくれました。
平助くん、ほんとにありがとう。

今、髪を伸ばしています。
なかなかあなたの髪の長さまでは追いつけないけど、もう後ろで括れるくらいになったんだよ。春になって、新しい学年に進んだら、平助くんにもらった組紐で髪を飾りたいなと思っています。
あなたが、最期まであなたらしく、立派に振舞っただろうということは、想像に難くありません。
それって、平助くんにとってはとても大切なことだったんだよね。
悲しいけど、寂しいけど、平助くんが自分の信じた道をまっすぐに進むことができたのなら、きっと、それでよかったんだと思います。

この空と時間が続いている限り、いつか必ず、またどこかであなたに出会える。
私は、そう信じています。
                                           ――花梨」


2010/2/19 完

はあ〜〜〜。長かった〜〜。
やっと……! 「完」の文字を書くことができる!
作者の遅筆さゆえに、とんでもなく長くかかってしまったことをお詫びいたします。
最初は、ほんのお遊びのつもりで書き始めたパラレルストーリーが、まさかこんなに大変なお話になろうとは思ってもいませんでした。
とにかく、平助くんをひたすら「かっこよく」描きたいという作者の願望だけで、ここまでひっぱってきたお話ですが、いかがでしょう。彼のかっこよさが、少しでも伝わってくれたでしょうか。
自分で書きながら、作中の平助くんに改めて惚れ直してしまった私です(笑)。現代モノは気軽に書けるので楽しいし、本編はもちろんのこと、番外編というお遊びもできて、とても幸せなシリーズでした。
拙い話に、ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。m(__)m


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