――私は関平 (By 李白さん) 「私は関平。現在『軍神』と名高い関羽の養子だ。 出会いはあの日だった……。」 偶然劉皇叔が我が家に来た。 わが父関定が出迎えている時に関羽……。いや義父はいた。 「関定どの、あそこにいる子息はなんと申されるか?」 「これは、関羽殿。彼は関平と申します。唯一武芸が優れた次男でな……。」 「ほう。関平どの、その力私に見せてはくれまいか。」 「は、はい。」 めったにない機会がめぐってきた。 というのも私は今の義父、軍神と呼ばれる関羽と闘いたかったからだ。 外に出て義父と戦うことになった私は、興奮と驚きを隠せなかった。 「それでは、関平殿いくぞ。」 ガキッ。 その一合一合を受ける手が、少しずつしびれていくのが分かった。 (つ、強い。守るだけで必死とは……。) 「なかなか。それではこれではどうかな?」 ガッ。 その攻撃によって武器を飛ばされた。 (やられた……。) 義父は型どおりの挨拶を済ました。 「関定殿。なかなか強い子息をお持ちのようでうらやましいですな」 「いえいえ。わが息子もあなたのような方と打ち合えてうれしく思っていましょう」 (こんなに強いとは……。) そんな気が抜けたような私に義父は 「そなたは強いが、攻撃をよけることを知らないみたいだ。」 「!!」 確かにそうだった。攻撃はすべて受け止めていたばかりで、決してよけたりはしなかった。そう、『受け』の状態だったのだ。 尊敬している関羽からの言葉がやさしく聞こえた……。 「……長兄。彼もなかなかの武人のようです。」 「そうか……。ぜひともほしいものだな。」 「ええ。」 この会話は出発前に父が私に教えてくれた。 自分がここまでほめられるとは正直驚いた。 その翌日に劉備殿・義父は帰ることとなった。 昨日みたいな日はもう来ないのだろうかと思いながらも、私は外に出て見送るだけのはずだった……。 「それでは私たちはこれにて失礼する。一晩ありがとうござった」 「……あの、関羽殿。この関定、お願いがございます。わが息子の平を、連れて行ってござらぬか?」 「え……?」 そんな話を聞いてもいなかった私には、驚きを隠すことができなかった。 「父上。それは関羽どのに失礼では。」 「いや……。お前の才能はこのようなところで使うべきではない。この乱世で使うものだ。」 「……そういうことでしたら……。」 私は養子となることに一つも迷いはなかったが、相手はあの関羽殿だ。 無理だと私は思った。が……。 「拙者は喜んで引き受けいたす。」 予想外の言葉に今まで以上に驚いてしまった。どう考えても、おかしいのではと思ってしまう。 「それでは、平。準備をしなさい。関羽殿にしっかりついていくんだぞ。」 「はい、父上。」 勢いにつられたせいもあるが、やはり心の中ではついていきたかったんだろう。 そのまま準備をして、私は劉備殿たちと城に向かった……。 ――了 |
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「関平ちゃんまつり!」に李白さんからいただいたSSです。 関平と関羽の出会いのシーンは、いろいろと想像できますね。申し入れたのはやはり関羽の方からでしょうが、関平はそのときどんな気持ちだったのかな。若者らしく、ワクワクしていたでしょうか。それともちょっぴり緊張していたでしょうか。 李白さん、ぜひこの続きも書いてください。何か、はっとするようなエピソードがあると面白い話になると思いますよ。 ありがとうございました。(千華) |