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散  花
(花の散る様はどこまでも美しく……)



殿から左近へ


左近、
頼りにしている――。


何度この言葉をつぶやいたことだろう。

そして 本当に
いつもお前は側に居てくれた。

軍師として
友として
何よりも同志として

俺にとってかけがえのない
唯一無二の存在だった。


わがままで 傲慢で
人の心を掴むことの下手な俺は
お前の目には
ずいぶんと情けない主君に見えていたことだろう。

それでも 最後までついて来てくれた。
勝てぬ戦と分かっていて
こんな俺に
俺のために……。


許せ、左近――。

あの言葉は お前にとって呪縛だったのか。
俺に仕えなければ お前には
もっと輝かしい未来が待っていたのかもしれぬのに。

「三成に過ぎたるものが二つあり 島左近と佐和山の城」
とはよく言ったものだ。

まったく、世評は驚くほどに正直で残酷だ、な……。






左近から殿へ



「三成に過ぎたるものが二つあり 島左近と佐和山の城」か。
そうじゃない。本当は……。

俺に過ぎたものが二つある。
石田三成と二万石だ。


――殿。
天下餅、この左近がついて殿に差し上げるつもりでしたが、
どうやら叶いそうにありません。

島左近、力及ばず。
お許しくだされ。


六十余年の生涯、思い残すことは何もない。
よき主に巡り会え、楽しき人生だった――。






◆◇「散花」によせて◇◆

「戦国無双2」をプレイしながら、いつも石田三成と島左近という佐和山主従に萌えていました(笑)。ツンデレで、いつまでもガキな三成と、そんな三成の本心をしっかり分かっていて、大きく包み込んでくれる大人な左近。主従というよりはもうちょっと近い、二人のこの距離感がたまりません。
この詩は、Web拍手お礼用に考えた二つの詩を単に繋ぎ合わせただけで、何だか手抜きで申し訳ないのですが…。
左近の詩なんて、「戦国無双2」のセリフのまんまだし。いろいろ考えたんですが、結局、これ以上何も付け加えられなかったというのが正直なところです。(^_^;)
特に、最後の1行。すごい名ゼリフでしょ。
これを最初に耳にしたのは「ニコニコ動画」にアップされていたMAD動画でした。動画自体もものすごくうまく編集されていて、その頃まだ「戦国無双2」を未プレイだったにもかかわらず、感動のあまり泣いてしまったくらいです。
その後、実際にゲームをやってみて、未だに左近のこのセリフを聞くことができずにいます。条件が難しいんですよね。
左近の最期のセリフとして、これ以上ふさわしいものは思いつかない。コーエーさん、さすがです!



BGM 追憶/From「TAM Music Factory」