I LOVE 新選組

土方さまのご命日(5月11日)

毎年、桜の花が終わり、吹きすぎる風が青葉の匂いを運ぶ頃になると、わけもなく胸が苦しくなる。
この時期は、私にとって物思わずにはいられない季節なのだ。
5月11日は、新選組副長 土方歳三さまの命日だから。

高校生の頃からずっと、新選組と土方さんにあこがれ続け、いつか土方さんの生誕の地(日野)と終焉の地(函館)を訪ねたい!と思い続けてきた。
日野へは、一昨年ようやく訪れる機会を得て、土方さんの生家(土方歳三記念館)や菩提寺である石田寺を訪ねることができた。土方さんの愛刀和泉守兼定も、かぶりつき?で見ることができ、本当に感動したものだ。
土方さんと新選組の故郷「多摩」は、見るからに質実剛健といった風情で、よそ者である私をも深い懐に迎え入れてくれるように思えた。

そして終焉の地は、今から5年前の夏休みに家族旅行で函館を訪れた時、私のわがままで「一本木関門跡」まで足をのばすことができた。
ついに……。30年越しの願いがかなったのである。
函館駅から歩いて歩いて、道に迷いながらたどり着いた一本木関門跡は、こじんまりした公園のようにきれいに整備されていて、「土方歳三終焉之地」の碑の前には、絶えることのない香華が手向けられていた。
(トシさん……。やっと、来れました)
胸に湧き上がる何ともいえない想いをかみしめながら、そっと手を合わせる。
家族が一緒だったので、なんだか気恥ずかしくて、ことさらに普通っぽく振舞っていたけれど、一人だったらきっと泣いていただろう。
お決まりのノートを開いてみると、全国各地からやってきた土方ファンが、それぞれに熱い想いを綴っている。
一人ひとり、胸に抱く土方像は違うのだろう。
私にも、私だけの土方さまがいる。

毎年この季節がめぐってくるたびに、胸がしめつけられる。
散りゆく桜吹雪、萌えいづる若葉のきらめき。空や、風や、水のせせらぎや……すべてがあのひとの生涯へとつながってゆく。
今日も、私は北の空に向かって祈りを込める。
風よ、あのひとのところへ、この想いを伝えてくれ、と。