I LOVE 新選組
ドラマ「燃えよ剣」に燃えた日々 |
あれ? 何、これ? パソコンで「もえよ」と入力すると「萌えよ」になっちゃう。そりゃまあ、萌えキャラっていう感じがなきにしもあらずだが(笑)、やっぱり土方さんは「燃えよ剣」だよね。 というわけで(?)「燃えよ剣」である。 私の新選組遍歴を語る上で忘れてはならないのが、テレビドラマの「燃えよ剣」だ。 新選組に足を突っ込んでからというもの、この作品のすばらしさは何度も耳にしていながら、本放送を見逃していた私にとっては、それこそ「泣きたいくらい」見てみたい番組だった。 そうこうしているうちに、ちょうど新選組にはまりまくっていた高2の時、運よくというか何というか、再放送が始まったのだ。もう一人の新選組どっぷり仲間と2人、そりゃ〜もう、狂喜乱舞しましたよ! ところが……である。世の中そんなに甘くはない。何と、再放送の時間は「午後3時」から。 ガ〜〜〜ン!!(まだ学校じゃん……汗) ショックは隠せない2人だったが、そんなことで諦められるわけがない。 で、授業が終わると同時に(掃除をサボって)学校を飛び出し、駅前のスーパーまで猛ダッシュ!(といっても10分ちょっとかかるのだが)4階の電気製品売り場のテレビにかじりついて後半を見る、という毎日だった。 しばらくして、なぜか放送時間が突然真夜中に変更になったため、それ以降は放課後の猛ダッシュからは解放されたが、そのかわり、目覚ましをセットして夜中に起きるという生活に。 家族が寝静まった後、そ〜っと茶の間に降りてきてテレビをつける。ボリュームはなるべく小さくして……。ビデオなんてなかったから、せめて声(音)だけでも残しておきたいと、テープレコーダーを回す。テレビ画面を写真に撮ろうと、部屋の電気を真っ暗にして、机に両肘を固定してカメラを構える。息を殺して画面を見つめ……(テレビを撮るのって結構難しいって、知ってた?)。 他人が見ていたら、これはかなりアヤシイ光景だ。今ならビデオの録画予約をしておけば、こんな苦労はしなくてもすむのだけど(時代を感じるなあ)。 さらには、寝過ごしてしまって肝心の最終回を見逃すという、痛恨の大失態を犯してしまった。 これは、ショックだったなあ〜〜(T_T) 一番の見せ場である(に違いない)土方さんの一本木関門突入、そして最期のシーンを見てないのよ! 後で、友だちにテープの音だけは聞かせてもらったけど……(泣)、こんなのって、(自分自身が)許せません。 ほんとにもう、私ったら、ばか〜〜ぁ! 結局、それ以降再放送はされなかったので、未だに始めの数回と最終回はきちんと見ていないのであった(涙)。 そんな断片的な「燃えよ剣」体験ではあるが、やはり私にとって、映像による新選組の原点はこの作品である。 栗塚旭氏の土方さんは、ほんとにカッコよかったのだよ。訥々としたしゃべり方も雰囲気あったし、ふだんは仏頂面なのに、時折(お雪さんと話している時とか……)見せる優しさが本当に印象的だった。 栗塚氏の土方歳三も、島田順司氏の沖田総司も、あまりにもぴったり似合いすぎていたのだろう。それ以降、いろいろな役者さんの新選組を見たが、この作品のイメージが強くて、どうしてもしっくりこない。 これは、時としてすばらしい作品が負う宿命ともいうべき功罪であろう。 そういえば、栗塚氏も島田氏も、土方や沖田のイメージから脱却するのにずいぶん苦労された、という話を聞いた。その役が似合っていればいるほど、どうしても、以後の役柄が限定されてしまう。イメージが固定されてしまうというのは、役者にとってはかなりつらいことなのだろう。そりゃまあ、いつまでも薄幸の美剣士をやっていられるわけではないし。 ただ、あの日の「燃えよ剣」は、やはり私の中では永遠である。 もちろん、栗塚氏は実際の土方さんとは外見もまったく違うし、そもそも「燃えよ剣」の土方歳三像そのものが、司馬遼太郎氏の創作による部分が大きいことも承知の上だ。さらに、テレビの「燃えよ剣」には原作にないエピソードや切り口もあって、こちらは脚本家結束信二氏の脚色だろう。バックに流れる渡辺岳夫氏のリリカルな音楽も感動的で、ドラマの印象をより深いものにしている。 それらが非常にうまくかみ合って、史実とも原作とも違う、独自の新選組世界を作り上げていたといってもいいのではないだろうか。 沖田総司のはにかんだような笑顔。大津の宿での、山南との静かで悲しい会話。 流山で近藤と別れる時の、魂を引きちぎられるような土方の慟哭。 函館に土方を訪ねてきたお雪が、再会の瞬間に見せる可憐な美しさ。(磯部玉枝さん、きれいだった〜〜) すべてが、大切な大切な青春の思い出、私の宝物だ。 最近になって、「新選組血風録」の方はDVDがリリースされた。次はいよいよ「燃えよ剣」かな? 学生時代の友人にこの話をしたら、彼女いわく「そりゃあ、絶対買わなきゃね。そして、お墓の中まで持っていかなきゃ!」だそうだ。 うん、確かに、そう思う。 |