いにしえ夢語り蜀錦の庭三国志を詠う



優しい午後

  −諸葛亮、徐庶、桂華−



あの頃
ぼくたちの世界は輝いていたね。

きみがいて ぼくがいて そして彼女がいて。

二人とひとり。
それぞれがそれぞれを支えあい 手をつなぎ
三角形は 世界で一番美しい形だった。

きみと彼女が 時折かわす 意味ありげな微笑に
ぼくは ほんの少しだけ
居心地の悪さを感じたりしたけれど

それでも
三人で 同じ空を見上げていられる
それだけで幸せだった。



突然――。
きみは そんな世界に終止符を打った。
なぜ?

ぼくを 彼女を 捨てていくのか?
残される者たちの やり場のない思いを
どうしろと言うんだ きみは。

壊れた三角形は 元には戻らない
つないだ手は ばらばらになり
支えあっていた心は 無残に砕け散る。

たとえそれが やむをえない選択だったとしても
やっぱりぼくは きみを許せないよ。

彼女を
桂華を 幸せにするのは
きみにしかできないだろう?

ぼくじゃ だめなんだ!!



空はこんなに青いのに
太陽は あの日と同じように
明るく大地を照らしているのに

ぼくらはもう 美しい三角形じゃない。

桂華 泣かないで。
お願いだよ……。

これからは ぼくが きみを支えるから。
きっと きっと 幸せにするから。

優しい午後の風が
ぼくと彼女の背中を なぜていく。

元直のいない午後――。




◆◇「優しい午後」によせて◇◆

すみません……訳のわかんないものを書いてしまいました(爆)。
え〜〜つまり、最初に逆凪諒さんの「優しい午後」というステキな曲がありまして、聞いているうちに、なぜか私のオリジナル小説設定の孔明と桂華(孔明の妻)、そして徐庶(元直)という三人の姿が浮かんできてしまったのです。
孔明と徐庶は同門の親友、そして桂華はもともと徐庶の恋人だった、という設定です。
男二人に女ひとり。若い頃にはありがちな、ちょっとあやういバランスの上に成り立つ友情。一歩間違えば、三角関係!泥沼〜〜!みたいな(笑)。
結局、徐庶が曹操の元に奔ったために、桂華は捨てられた、という格好になってしまうんですね。そんな彼女に求婚したのが、孔明だったというわけ。
ちなみに、うちの桂華さんは、とりわけ不美人というわけではありませんが(笑)、南蛮系の血が入っているのか、当時の美人の概念からはかなり逸脱した容貌の女性という設定になっています。
わざと言葉遣いなんかも現代風にしてみたのですが、ちょっと青っぽい孔明さんも、なかなかによいかも。すでに、三国志の世界じゃないけど……(汗)。



BGM 優しい午後/From「遠来未来」

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