I LOVE 三国志

蜀派娘の三国志


私と三国志との出会い。それは小学生の頃に遡る。
学校の図書室で何気なく手に取った1冊のジュニア向け三国志が、すべての始まりだった。
今となっては記憶もさだかではないのだが、確か作者は柴田錬三郎だったと思う(間違っていたらごめんなさい)。
何しろシバレンの小説だもの、痛快・明快、面白いことこの上ない。
主人公は、もちろん桃園の三兄弟、そして諸葛孔明である。話としては赤壁の戦いの後くらいで終わっていて、つまり最も美味しいところだけを切り取った形になっている。
さらに、ジュニア向けに書かれたものだったせいもあるだろう、ストーリーはあくまで分かりやすく、つまり「演義」に準拠した蜀中心の展開だった。
最初にこれを読まされては、勢い「蜀大好きっ子」にならざるをえないでしょう(笑)。

それ以後、三国志の世界は、鮮烈な印象として胸の中でずっと温められ続けていたのだが、何しろ高校時代は新選組どっぷりだったため、しばらく三国志からは離れていた。
大学生になってから、NHKの「人形劇三国志」が結構ツボだったりしたことにも触発され、そんな中、吉川英治の「三国志」を読んで、私の中にくすぶっていた残り火は一気に燃え上がってしまった。
その圧倒的迫力と感動に、もうすっかり虜!
全八巻、二ヶ月近くかかったけれど、ほんとにもう、ものすご〜〜く(笑)のめり込んでしまったのだった。

戦っては負けてばかりいる劉備は、当時はそれほど魅力的な人物には思えなかったのだけれど、彼をめぐる人々がとにかくステキすぎる。
特に好きだったのは、関羽と趙雲だ。
関羽は、曹操に降った後、苦労して苦労して、それでも劉備への「義」を守り抜き、奥方を警護して千里を踏破する場面が大好き。
黙って行かせてやる曹操の苦悩、張遼の友情もいいよね。
趙雲は、もちろんいわずと知れた長坂坡! 阿斗を懐に抱いて敵陣を突破する勇姿の、なんというかっこよさ。女なら惚れずにいられようか(笑)。今思い出しても、胸がときめきます〜〜。

そしてさらに、初めて三国志の世界に触れた小学生の頃から、はるかにお慕い参らせた諸葛孔明さまっ! この人のすばらしさは、一言でいって悶絶モノだ(爆)。
大体、吉川「三国志」の前半部分は、はっきり言って展開がだるい。劉備があまりに不甲斐なくて、読むのが辛い。それがどうだろう、孔明が登場してからの四巻以降は、面白すぎて止まらなくなってしまう。
それほど、この天才軍師の存在感は強烈だ。「三国志」の後半は、まさに孔明のためにあるといっても過言ではないだろう。

こうして、シバレン三国志→人形劇三国志→吉川三国志と、演義準拠の三国志王道を歩んできた私は、昔も今も「蜀派」ひとすじである。
もうこれは、体臭のように私の中に染みついてしまっていて、どうしようもない。
たとえば「三国無双」のゲームをやっていても、敵になった趙雲を倒すことなんて、金輪際できはしないのだ。もちろん関羽や張飛が「兄者、すまぬ……」なんて言いながら斃れていくシーンだって、悲しくて見ていられないし。
息子が魏軍や呉軍でストーリーを進めている時など、最後に成都が落とされる場面で、マジ涙が出そうになった。
というわけでこのゲーム、面白いとは思うけど、とてもじゃないが私には冷静にクリアできそうもない。
そう、私には蜀伝だけでいいのだ。使う武将は、いつも趙雲か姜維と決めている。
「天地を喰らう」も、「三国志孔明伝」も、私のゲームはいつも、孔明の尽力によって蜀が天下を統一し、ハッピーエンドで終わるのである(魏・呉ファンのみなさま、ごめんなさい〜〜大汗)。 m(__)m