今月のお気に入り
大好きな「三国恋戦記」がコミカライズされると知り、狂喜! …したものの、正直、複数ルートある乙女ゲーを1本にまとめるなんて無理でしょー。どーせ、アニメの「薄桜鬼」みたいにむごい話になって終わりでしょー。…とか思ってました。 認識不足でした。本当にすみません。m(__)m 終わってみれば、なんて素晴らしい恋戦記ワールド! コミックの感想は、その都度ブログにアップしてきたものや、後から書き足したものもあったりで、取りあえずブログに掲載した記事を再録して、ひとつのレビューとしてまとめてみました。 |
||
1巻 ―お前が欲しいと思ったんだ。 |
――駒を進めし者 志成すまで自らも駒と化す―― 平凡な毎日を送る女子高生・山田花は、まだ恋を知らない女の子。 ある日、課題レポートのために図書館で「三国志」について調べているうちに、兵士のような駒が入っている不思議な本を見つける。興味本位に駒を動かしているうちになぜか文字が変化して…?! 突然真っ白な光が現れ、花は意識を失った。 そして、次に目覚めた時に立っていたのは、見たこともない森の中。でも、なんだかさっきまで調べていた「三国志」に似た世界…。 「うそ、ここってどこ? なんで携帯が通じないの?」 何が何だかわからないまま呆然としている花の耳に、謎めいた男の声が響く。その男の言葉に導かれるまま、“玄徳”という武将の元に身を寄せた花は、どういうわけかその場の成り行きで“孔明”の弟子だと勘違いされてしまう。 そして世に知られた賢人だという“孔明”の代理ならばと、なんといきなり兵を率いる羽目に! 「こんな小娘に」とばかりの武人たちの刺さるような視線を浴び身を縮める花だったが、しっかり持っていた“不思議な本”の力で、何とか初陣での勝利を収めることができた。 だが、ほっとしたのも束の間、新た難敵が立ちはだかる。 こうして花は、戦国の世の勢力争いの渦中に巻き込まれていく――。 (ゲームの公式ページより) 待望の1巻が発売になり、娘が書店を4軒まわって買ってきたのを、さっそく私も読ませてもらいました。 ゲームの雰囲気を壊さずに、なかなかうまくコミカライズされてると思います。このままいくとすると、やっぱりコミックは玄徳さんルートなのかな〜? …と思ったけど、そこは最後まで分からないよね。(^^;) 孟徳さんLOVEな娘は、「孟徳さんの絵が2ページしかない〜〜」と不満そうにわめいておりましたが…。だって、まだちらっと出てきたとこだもん(笑)。 久々にコミックスを読んでいると、「ああ、こんなシーンもあったなあ」といろんなことが思い出され、懐かしくてたまりません。 思えば、花ちゃんってほんとに過酷な運命を生きてるよね〜って、改めて感動しちゃった。 だって、ごく普通の女子高生が(それほど中国の歴史に詳しいとも思えないし)突然三国の動乱のただ中に放り出され、訳も分からないまま必死に策を練り、結果、自分が考えた策のせいで死んでいく多くの兵を目にして恐れおののく…とかなっちゃうわけですから。 博望坡での彼女の衝撃は、それこそ「時の地平線」の孔明以上だと思うなぁ。 そんな諸々を、自分の意志と行動で健気に越えて成長していく花が、とても愛おしいです。玄徳さんじゃないけど、頭なぜなぜしてあげたいです。 今のところ玄徳ルートが濃厚なので、雲長や翼徳、子龍、師匠などに関しては、ゲーム内のエピソードはきちんとあるものの、それ以上発展する感じはなさそうです。玄徳さんとは、すごくいい感じ。 でも、ラストになって孟徳さんが出てきました(娘、歓喜!)。 2巻はどうやら孟徳ルートにいっちゃうみたいですねー。 にしても、この漫画を読むと、本気でもう一度ゲームがやりたくなってくる。 古いパソコンがオシャカになってしまったので、せっかくのクリアデータもすべて吹っ飛んでしまったのですが;; もう一度、インストールから始めてやり直してみようか…。と思っている今日この頃。 |
|
2巻 ―君を閉じ込めてしまいたい。 |
長坂橋で川に落ちて気を失った花が目覚めると、そこは孟徳軍の陣営だった。 捕虜となった花(と、その本)に興味を持ち、親しく接してくる孟徳。だが、戦場で垣間見た恐ろしい為政者の表情とは全く違う、孟徳の意外な素顔に、花は戸惑いを隠せない――。 今回は、娘が大好きな孟徳さん(曹操)ルートのお話なので、そりゃもう、読んでる間中も読んだ後も、キャーキャーうるさいったらありません(苦笑)。 まあ、1巻は玄徳(劉備)ルート全開で、孟徳はちらっと2コマくらいしか登場しなかったんですよね。もし、このまま玄徳ルートで話が進むのなら、もしかして孟徳ってこの後出番がないんじゃないのっ?と、すごく心配していたようなわけですが、全くの杞憂でした。 なんとなんと、2巻はほぼ孟徳さんのターン!(正直、予想外だった…笑) しかも、ゲーム以上におちゃめな丞相が満載で、おまけにオリジナル展開まであったりして、結果、赤壁の戦い間際だというのに、まだ花ちゃんは孟徳陣営に残ってるという…。これからいったいどうなるんだろう? 私はどちらかというと、真面目一徹な純情玄徳さんが好みなんですが、とことん落差のある孟徳さんって、ほんとに憎いくらい女心を揺さぶる魅力的なキャラですよね。娘がもだえる(笑)のもわからなくはないけど、こういう男に惚れると女は不幸になるような気がするなあ…。はあ。 ともあれ、笑顔全開の孟徳さんって、ほんとにかわいいんです。あれでアラサーとか、どうなの?って感じですが;; そんな諸々を差し引いても、孟徳さんの笑顔は素敵すぎますねー。 さらに、ゲームでは出てこなかった子龍(趙雲)の女装も出てきたし。まるで、ファンディスクみたいな一冊でした。 複数ルートある乙女ゲーを、ひとつの話にまとめるのはとても難しいと思うのですが(「薄桜鬼」のアニメはこの部分が完全に失敗だったと思う)、このコミックは今のところ玄徳ルート、孟徳ルートの美味しいところをうまく組み込んであって、とてもよくできた展開になっています。 これから先いったいどうなるのか、花ちゃんが誰を選ぶのか、ゲームをプレイした私たちにも全く読めないのが面白い。 次はいよいよ仲謀(孫権)が出てきて、一段とややこしくなりそう。やっぱり、赤壁の後で花ちゃんが過去に吹っ飛ばされるとき、誰と一緒に行くのかが鍵になりそうですね。 わくわくしながら、今後の展開を見守りたいと思います。 ああ〜〜、本気でもう一度「恋戦記」がやりたくなってきたよ〜! |
|
3巻 ―俺様を満足させてみろ。 |
孟徳軍の捕虜となっていた花を救うべく許都に潜入した玄徳。しかし、本を奪われ玄徳の力になれないことを悲観した花は、その手を振り切り、孟徳とともに赤壁の戦場へと赴く。 誰も死なせたくない(玄徳さんも、孟徳さんも)。戦を終わらせたい。ただただその一心で。 本の力で孟徳の敗戦を知った彼女は、何とか孟徳に戦をやめて引き上げるよう説得を試みるが、信じてもらえず――。開戦の時は刻々と迫る。 孟徳軍が敗れるという確たる証拠をさがすため、決死の思いで河を渡り、仲謀軍に身を投じた花を迎えてくれたのは、同盟の使者としてこの地へ来ていた孔明だった。 いよいよ3巻。舞台は赤壁の戦いへ。 仲謀(孫権)や公瑾(周瑜)など呉軍の人たちも登場し、ようやく役者はそろった!という感じですね。 ツンデレ俺様王子 仲謀とのやり取りもなかなか面白かったのですが、ここではややあっさり目。ここまで読んできた中では、やはり花ちゃんの本命は玄徳さんなんだろうなあ。でも、孟徳さんもますますがっつりで、全く譲りません。これはやはり、女子高生をめぐる三十路男二人の一騎打ちですかね〜。(^^;) それにしても、ここまで読み進めてきて、花ちゃんの成長には目を見張らせられます。 最初は何も知らない、何もできない女の子だった。 そんな彼女が、否応なしに戦に巻き込まれ、ただ自分の周りの人たちを助けたいという思いから、本に教えられた策を実行するが、結果、数えきれないほどの敵兵を死に追いやってしまう。 戦場の惨禍を目にしたときの彼女の衝撃、恐怖、そして罪悪感…。平和な日本で暮らしていた普通の女子高生にとって、それはどれほどショックだったことでしょう。 色々な人と出会い、誰もが自分の意志をもって戦っていることを知る。 では、私は? 私は何のために戦うのか? (この世界から戦をなくすために。誰も死なせないために) そのために策を用いるのだ、とはっきりと自分の意志で決心するんですねえ。このあたりの彼女の人間的な成長と、行動力がすごいです。 それだけがんばったのに、結局赤壁での火計を阻止することはできず、またまた己の無力さに打ちのめされる花ちゃん。もうこの辺りは読んでて辛い。あなたのせいじゃないよ、あんなにがんばったんだから。責任感じなくていいよ、と言葉をかけてあげたいけど、きっとそんな慰めは彼女の耳には届かないのでしょう。 いやいや、こんなにがんばる乙女ゲーのヒロインってめずらしいのでは? 相手に引きずられるのではなく、きちんと自分で考えて自分で行動してるよね。すごいなあと思います。だからこそ、花ちゃんを心から応援したくなるんですね。 …ってことで、(思いっきり気になるところで)次巻に続く! |
|
4巻 ―誰よりも君の幸せを願う。 |
悲惨な戦場となった赤壁で、玄徳と孟徳の両雄に挟まれた花。本を質に自分に従うことを迫る孟徳だったが、花は自分が本当に帰りたい場所は玄徳のところだと気付く。 玄徳軍の仲間と再会した喜びも束の間、本を開いた花は玄徳とともに、黄巾の乱の時代へ飛ばされてしまう。 そこで、少年時代の孔明(亮)や黄巾党の晏而・季翔らと出会った二人は、何とか黄巾の乱を成功させて元の時代に帰ろうとするが――。 待ち遠しかった「三国恋戦記」コミックスの4巻! いや〜、めっちゃ面白かったです。怒涛の展開、というかものすご〜く中身が濃くて。 このコミックは本当に期待を裏切らないですね。よほど脚本を書いておられる方が上手いのか、複数ルートある乙女ゲーを、単に総花的にコミカライズしただけ、っていういいかげんさが全くありません。 各ルートのいいところをちゃんと生かしつつ、それでもきちんと一本筋が通っているというか、ヒロインが全然ブレてなくて、読んでて気持ちいいんですよ。 玄徳陣営→孟徳陣営→仲謀陣営へとめまぐるしく転戦するヒロイン。 今回は、赤壁の戦いのさなか、花ちゃんをめぐって玄徳と孟徳が激しい恋のさやあて(?)を繰り広げます。 ようやく再び玄徳のもとへ帰ってきたと思ったら、今度は過去の世界に飛ばされてしまい…。心の落ち着く暇がありません。 それにしても、やっぱり! 花ちゃんが一緒に過去へ飛ばされる相手は、玄徳さんでしたね。二人の気持ちも一段と近づいてきて(というか、花ちゃんは一貫して玄徳さん寄りだったし)、これはもう「玄徳ルート」確定かな…と思ったんですが。 ところがところが、過去世界では孔明ルートも絡んできたし(亮くん、かわいかった〜〜!)、黄巾賊のおっさんもしっかり出てきて、なにやらノーマルルートの匂いもする。。。??? う〜〜ん。やっぱり、まだまだ先が読めません。 ひととおりゲームをクリアしているのに、それなのに全く予測不可能っていうのもすごいよね。 私的には玄徳ルートだとうれしいんだけどな。何しろほんとに切なくて、思わず花ちゃんに感情移入して泣いてしまいましたからねえ>玄徳ルート。 この先いったいどうなるのやら。 もちろん花ちゃんには幸せになってほしいけれど、この状況で誰か一人を選ぶというのは、彼女にとってものすごく酷なことなのかもしれない。だとすると、ノーマルルートのように、スパッと三国を平定して、誰ともくっつかずにもとの世界へ戻ってきて大団円…なんてことにならないとも限らない(…と娘が言うのです)。 いくらなんでも、それはちょっと寂しいでしょう。(一番初めにノーマルルートに行ってしまった私が言うんだから、間違いない…笑) せっかくの乙女ゲーなんだから、やっぱり最後は、誰かとくっついて幸せになってほしいなあ。 4巻が出たばかりだというのに、もう続きが気になってしかたがないなんて。これはほんとに面白いマンガだっていう証拠ですね。早く次が読みたいぞっ。 |
|
5巻 最後の時まで、あなたを守る。 |
無事に過去から元の世界へ帰ってきた花と玄徳。花は、孔明があの亮の成長した姿であり、自分をここまで導いてくれたのだと知る。 三国それぞれの力の均衡を図るため、孔明は玄徳に本拠地となる益州を取らせようとするが、信義を重んじる玄徳は応じない。 漢中・涼州をめぐる孟徳軍との戦いが激しさを増す中、玄徳との心のすれ違いに悩む花は――。 ついに、終わってしまいました! 「三国恋戦記」のコミック版。第5巻、堂々の完結です。 4巻で、玄徳とともに過去の世界に飛ばされた花ちゃん。ああ、これはきっと、玄徳落ち確定なのだろうなあ…と確信しつつも、なお一抹の不安が拭いきれずにいた私でしたが――。 だって、過去の世界ではしっかり亮くん(孔明)も出てくるし、黄巾党のおっさんたちも絡んでくるし。もしかしたらノーマルルートで、花ちゃんは、ぱぱっと(笑)三国世界を統一して、そのまま現代に帰ってくる…なんていう展開もありかも…なんてことも考えていたのです。 でも、でも、でも。。。 やっぱり、期待を裏切らないマンガでした!! もう、これっきゃない! やっぱり、そうでしょ、そうだよねっ!っていう(私が願った通りの)素晴らしい終わり方…もう、大感激、感動の涙ですよ〜〜。 実を言うと、この最終巻も、途中まで「もしかしたらノーマルルートなんじゃ?」と思いながら読んでいたんです。 というのも、ノーマルルートが一番平和な終わり方なんですよね。他の人のルートだと、その人とはうまくいくけど、そこから先(の世界)は全然見えないわけですから。 そうして花ちゃんは、誰ともくっつかず、一人元の世界へ戻っていく――。確かにかっこいいんだけど、乙女ゲーの結末としては、これだと寂しすぎるよね。 というわけで、そのあたりの諸々をうまくまとめつつ、最後はしっかり玄徳さんとハッピーエンドになるコミックの展開はさすが。ほんとにこれって、私が望んだとおりの大団円じゃないですか! …めちゃくちゃ感動してしまった。 ゲームをやっているときは、玄徳さんルートってほんとに辛くて、思わず花ちゃんに感情移入して泣いてしまいました。玄徳さんと花ちゃんの気持ちのすれ違いに、身を切られるくらい辛かったですもの、あの話は。(T_T) コミックでは、その辺はわりとすっきり整理されていて、玄徳さんが孫尚香と結婚するというエピソードもカットされていたので、まだ救いがあったというか。 玄徳エンドの甘々なセリフもしっかり聞けて、まずは、めでたし、めでたし。 それにしても、複数ルートある乙女ゲーをひとつにまとめた話で、誰もが不幸にならない展開って見事だと思います。まあ、明らかに失恋する人もいるわけですが…。ヒロインが幸せなら、それでいいじゃないか〜♪ うふふ。孟徳さんの押しの強さには、最後までニンマリさせられました。 そして、孔明師匠の花ちゃんへの思いは、やっぱりちょっと切なかったですね。このままだと、彼はきっと生涯独身でいっちゃうんじゃないかと、余計な心配をしてしまいます(笑)。 何より、ラストシーンが晏而と彼の家族っていうのが、これまた泣かせますね。これをこそ、「大団円」というのだろう、なんて思うわけです。 |
|
とにかく本当に面白かった。 ゲーム未プレイの人が読んでも、それなりに分かりやすいし、ゲームをやった人ならなおさら、あの中では語り切れなかった心情やエピソードが随所に散りばめられていて、より深く物語の中に入っていけるんじゃないかと思います。 まあ、最終的に玄徳ルートに落ち着いたということで、それ以外のキャラが好きな人にはちょっと残念な部分もあるかもしれませんが、それでも決して誰一人なおざりにされていたわけではなく、皆それぞれに魅力的なキャラとして描かれていて、そこがまた素晴らしいところ。 当初、3巻の赤壁までで終了という予定だったそうですが、よくぞ5巻まで延ばしてくださいました! だって、この話、どうがんばっても3巻では終わらないでしょー。欲を言えば、もう1巻分増やして、最後の部分をもう少し丁寧に描いてほしかったなあ。最終巻はちょっと駆け足すぎて、絵よりも字が多かった気がする…。 それにしても。。。ああ〜〜、このコミック読むと、いつも無性に「三国恋戦記」がやりたくなるのよねー。 これはもう、麻薬みたいなもんです。 あず真矢先生、素敵なお話をありがとうございました。 シリーズ通しての私的評価は、満点の ★★★★★ 献上です。 |
||
2015/5/5 |