今月のお気に入り

機動警察パトレイバー


篠原遊馬(あすま)98式AVイングラム泉野明(のあ)後藤喜一(隊長)

お気に入りキャラを並べてみた。
左から篠原遊馬、98式AVイングラム、泉野明、後藤隊長

●キャラアイコンは World of P 様からお借りしました。




長い間予告倒れのままで、当人も内心どうなることかとハラハラしていた(笑)「機動警察パトレイバー」、ようやく11月のお気に入りに間に合いました〜〜。

◆千華どん一家、パトレイバーにはまる

「機動警察パトレイバー」というアニメに一家揃ってはまっていたのは、もう10年以上も昔のこと。
そもそもの始まりは、ダンナが借りてきた劇場版パトレイバー(第1作)のビデオだった。何気なく見たのだが、ストーリー構成の緻密さとテンポの良さ、そして何よりもユニークでありながらリアリティーにあふれた登場人物たち……に、ダンナも私も魅せられてしまったのだった。
これがあまりに面白かったので、先に出ていたOVAシリーズを制覇し、さらに、ちょうどリアルタイムでオンエアしていたテレビシリーズも毎週かかさずチェックして、どんどん泥沼にはまり込んでいくことに。
ダンナは、子どものためと言い訳しながらせっせとパトレイバーのプラモデルを作り(そのたびに子どもに潰されては、めげずに新しいのを買ってくる)、車大好きっ子だった上の息子はすっかりレイバーマニアと化し、当時やっと一人立ちできるようになったばかりの娘まで、パトレイバーの曲がかかると身体をゆすって踊り出す始末(笑)。
「機動警察パトレイバー」は、確かに、我が家にとっての一時代だったのだと思う。

そもそも「機動警察パトレイバー」は、最初にOVAが作られ、次に劇場版、そしてテレビシリーズを放映、さらに劇場版の2と3が公開される、というちょっと変わった順序で製作されたアニメ・シリーズである。
原作はゆうきまさみ氏のマンガだが、これはアニメとは別物と考えた方がいいかもしれない。(なんちゃって、えらそうなことを言ってるけど、実は私、原作は途中までしか読んでいないのでした……スンマセン)
劇場版3作、最初のOVA7話、テレビシリーズ全47話、そしてテレビシリーズのビデオに収録されていた新作OVA16話、どの話もみんな面白かったけれど、特にテレビシリーズにおまけで入っている新作OVAなんて、スタッフが遊びで作っちゃってるとしか思えないような傑作ぞろいだった。
銭湯でのボカシが飛び交う乱闘シーンに、思わず笑っちゃう「黒い三連星」。第2小隊の慰安旅行で火花を散らす女の戦いを描いた「VS(バーサス)」。うちの子どもたちの一番のお気に入り、ワニとの追っかけがバカ受けの「地下迷宮物件」&「ダンジョン再び」などなど……。
テレビシリーズの方も、1週間に1本あげていたとは思えないくらい丁寧な作りで、いい話がいっぱいで、とてもここでは語り尽せない。

◆パトレイバーの世界を少々……

さて、ここで、パトレイバーを見たことがない!という方のために、少〜しだけご紹介しよう。
舞台は1999年の近未来(製作時の10年後、という想定だった)、東京。
レイバーとは、作業用に開発されたロボットの総称である。建設・土木の分野に広く普及したが、それに伴ってレイバーによる犯罪も急増。警視庁は、特殊車輌二課パトロールレイバー中隊を新設してこれに対抗した。通称パトレーバーの誕生である――。
特車二課は、南雲しのぶ隊長率いる第1小隊と、後藤喜一隊長率いる我らが第2小隊、整備の神様、おやっさんこと榊班長と神童シバシゲオ(通称シゲさん)の統率する整備班とで構成されている。エリート集団の第1小隊に比べ、落ちこぼれの悪名高い第2小隊。その第2小隊に、最新鋭の新型機98式AVイングラムが配備されることになり……。
主人公、泉野明(いずみ・のあ)は、第2小隊1号機のパイロット。「レイバー大好き!」な元気いっぱいの女の子。指揮車担当の篠原遊馬(しのはら・あすま)と、ぶつかったり励ましあったりしながら、持ち前の「知恵と勇気」で困難な局面を乗り越えていく。
ほかにも、多彩で癖のある登場人物たちが、複雑にからみあってストーリーの展開に華を添えるのであるが……。

なんといってもユニークなのは、警察のロボットという設定だろう。10年後という近未来を舞台にしているとはいえ、そこに出てくるロボットたち(レイバー)は、工事現場などで働くために開発された現実的かつ地味な存在である。
パトレイバーこそ、人型ロボットという特殊な形態だが、それでも決して空を飛んだり海に潜ったりはしない。特殊車輌という名前が示すとおり、イングラムにはナンバープレートが付いていて、レイバーキャリアに載せて目的地まで移動するのである。動力源はバッテリーだし(笑)。
また、当時のお子様向けアニメにしては珍しく、警察の内情なんかが面白おかしく暴露されていて、これも楽しみのひとつだった。かの「踊る大捜査線」に多大な影響を与えた、というのは有名な話だが、緊迫した中にふっと笑える間の取り方やギャグの落としどころが、「踊る大捜査線」や平成の「ガメラ」シリーズに通じるものがあって、何ともいえない。
さらに、ロボットものなのに、まったくロボットが登場しない、なんていう回もあった。監督の押井守氏は、どうやらロボットが嫌いらしくて、あまり戦闘シーンとかやりたくなかった、っていう内輪話も聞いたことがあるが……。
もちろん、レイバー同士の戦闘シーンはすごく迫力あって、私は大好きだった(もともとロボット・プロレスアニメが好きな人)けど、そういう中に、たまに人間くさい(というか、人間しか出てこない)話が混じっているのも、これはこれでパトレイバーらしいなと思える。

◆大傑作!劇場版パトレイバー

そんな楽しいシリーズの中でも、特筆すべきは、やはり劇場版の第1作だろう。
一番最初に出会った作品だけに、よけいに印象深いのだが、本当にすばらしい出来で、15年も昔の作品なのに、今見ても十分大人の鑑賞に堪えうる大傑作、まさに「これぞエンタティメント!」なのだ。

この劇場版第1作では、コンピュータウイルスというものの脅威が実に生々しく描かれている。当時はまだ今ほどコンピュータが一般的ではなく、それ自体が何やら得体の知れない不気味な存在だったように思う。
東京湾を埋め立てるという壮大なバビロン・プロジェクトを核に、再開発が進む東京。突如、原因不明のレイバー暴走事故が多発する。二課の後藤隊長は、レイバー製造の大手である篠原重工(篠原遊馬の父親の会社)が新しく開発したOSが怪しいとにらむが、プログラマーの帆場は既に自殺していた。
レイバーのOSにウイルスが意図的に仕掛けられたのだとしたら? やがて、首都圏数十万台のレイバーが同時に暴走する可能性が明らかになる……。

出だしのカットから、見る者をぐいぐいとつかんで離さない。舞台設定や状況説明も、話の中でさらりと流されていて、すんなりパトレイバーの世界に入り込んでいけるのはさすが。
ストーリーも、謎解きのシリアスな部分と、アクションシーンのバランスが非常によく取れていて、なおかつ人間ドラマやギャグの部分も忘れない。
暴風雨の中、東京湾にそびえる方舟(はこぶね)での戦闘シーン、ものすごい迫力で思わずワクワクしてしまったのだが、こういう動の部分と、松井刑事たちが帆場の謎を追っていく静の部分の対比が実に印象的だ。
さらに、登場人物の造形が非常によく練られており、それぞれに個性的で味のあるキャラクターに仕上がっている。誰もかれも、みんな楽しくてステキなのだが、私のイチオシは「切れすぎる昼行灯」後藤隊長と、「24時間正義の男」太田巡査。参考までに(笑)。
もちろんある程度の基礎知識があれば、登場するキャラたちの人間関係やらバックグラウンドやら、より深く理解できるのだが、そんなものがまったくなくても、ぶっつけでこの劇場版のみを見ても、十分楽しめると思う。
論より証拠、ぜひ一度、実際に作品を見ていただきたい。私がつまらないことをぐだぐだと書くよりも、この劇場版を見れば、パトレイバーの面白さを一番よく実感してもらえるはずだから。

◆蛇足ですが……。パトレイバーにはまっていた時、ちょうど二人目の子どもを妊娠していました。男の子だったら「あすま」(←漢字はまあ、テキトーに考えるとして)っていう名前にしようと、本気で思ってた(笑)。女の子だったので、残念ながら実現しませんでしたが。

2005/11/1


も〜っと「機動警察パトレイバー」というヒトは
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