今月のお気に入り





無双な日々


●語り部、アクションゲームに開眼?

「無双(むそ)る?」
このところ、私と子どもたちの間ではやっている言葉だ。
「ご飯食べたら、無双らない?」「ちょっと惇兄で無双ろうか」などと、一時我が家では、得体の知れない言葉が飛び交っていた。
ちょうど1年くらい前になるだろうか。高校生の息子が中古屋さんで買ってきた「三國無双3」というゲームに、家族3人で(←ダンナを除く)どっぷりはまってしまったのだ。その後発売になった「三國無双4」もしっかりゲットして、連日鬼のようにプレーしていた。
自分のやりたいキャラやモードは、ほぼやり尽くしてしまったので、現在は沈静化しているが、それでも時々引っ張り出してはいそしんでいる。
ゲームにはまるなんて何年ぶりだろう。「幻想水滸伝2」以来かもしんない(古いなあ……)。

もともと、RPGかシュミレーションゲームしかやらない人なのだ。
これまで、何度かアクション系のゲームにチャレンジしたこともあったけど、最後までクリアできたためしがない。目も腕もついていかなくて、指はつりそうになるわ、酔いそうになるわ。これはもう、天性の相性の悪さにちがいないと、「君子危うきに近寄らず」を決め込んでいたのだが……。
そんな私が、「三國無双」だけはけっこう楽しめるのである。「自分にもアクションゲームができるんだ!」と気づいたときの感激は、新鮮だった。
何のことはない、操作が簡単で、適当にボタンを押していれば、それなりにかっこよく動いてくれるように設定されているだけなんだけどね。
もちろん、いろんな「技」はあるらしいが、□と○ボタンを押していればなんとかなる……という、私のために作られたようなゲーム(笑)。
子どもたちには、「お母さんはノーガードやもんねえ、やられ放題じゃん」などと、さんざん馬鹿にされつつ、それでも何とか最後までたどり着けるんだもの。ほんとに時々、思いもかけないチャージ攻撃を繰り出してくれたりするし(でも、同じ技は二度と出せない……爆)。

実際にプレーしてみて、このシリーズが非常に人気があるということを、素直に納得してしまった。
元々三国志好きの人なら、自分の好きな人物が、ビジュアル系青年や渋いおじさま(笑)で活躍するというだけでたまんないだろうし。また、このゲームから三国志の世界に入った若い人たちにすれば、魏・呉・蜀も漢室の再興うんぬんも関係なく、ひたすらキャラのかっこよさだけではまれるんだろうなあ、と思う。
こんなことを言うとファンのみなさんにはお叱りをうけるかもしれないが、自分でやってみるまでは、たかがゲームと馬鹿にしていた部分がなきにしもあらずだった。
うちの息子にしても、最初にシュミレーション系のゲームから入ったからかもしれないが、どうしても数値で人を評価してしまう傾向があるのだ。
「一番武力が高いのは呂布やけど、頭悪いし……にしても100は反則やなあ。知謀はやっぱり孔明が一番高いんか。あちゃ〜〜!こいつは能力値低すぎるわ、役に立たん」といったぐあい。
でもさ、ちょっと待って。偏差値じゃあるまいし、人間の値打ちって、そんなふうに数値で割り切れるもんじゃないだろう?と母は思うのである。
まあ、ゲームの三国志しか知らないという人は少ないと思うが、「三国志が好き!」という以上は、やっぱり基本は押さえておいてほしいと思う(正史とまでは言いませんが、せめて演義とか「吉川三国志」くらいは……)。
そんなわけで、「三國無双」についても、とても人気があるゲームだというのは以前から知っていたけれど、子どもたちが家でやっているのを見ても、なかなか自分でプレイしてみる気にはなれなかったのだ。

それが今では、無双キャラの虜!
我ながら変わり身の早さに驚いてしまう(笑)。
これほどはまったのは、前述のようにプレイのしやすさによるところも大きいが、それにもまして個々のキャラクターが魅力的だということが大きな理由である。
もともとガチガチの蜀大好き人間である私が、「三國無双」をすることによって、「あら、魏も呉もなかなかいいじゃない」と思えるようになったのだ。さらに、今まで大嫌いだった人物の新たな魅力を発見して、見直したなんてこともある。
これはもう、偉大な三國無双効果というべきだろうか。
特に「三國無双4」では、それぞれの人物伝の形態をとっているので、自分の好きなキャラには思いっきり感情移入できるのがうれしい。
すでに、めぼしい人物はほぼやり尽くしてしまったのだが、実は「三國無双4」で私が一番やりたかったのは関平ちゃんだった! ただ、彼を出すためには関羽伝をクリアしなければならないので、真っ先に関羽伝をやりましたよ、はい。
無双の関平って……(ヘアースタイルは甘寧だけど)まじめで、まっすぐで、父上にべったりで(笑)、か……かっわいい〜〜!
星彩への態度も、すごく純でナイーブで、好感が持てます♪
そんなわけで、わが家の(私のメモリーの)キャラの強さは、私(と娘←たまに手伝ってもらうので)の愛情に比例している!
関平、姜維、趙雲、(なぜか)曹丕あたりは、すべてのゲージがほぼMAXである。あ、そういえば、小喬ちゃんや月英さんも強力だ。絶対にダンナさま(周瑜、孔明)より強い。白井三国志みたい(笑)。
優しいから難しい(修羅)まで、レベルが選べるのも親切。最初は優しいモードでちゃっちゃとクリアして、ある程度鍛え上げてから、難しいモードに再チャレンジすることもできるし。
攻撃パターンとかで、使いやすいキャラとか反対に使いにくいキャラとか、いろいろあるようだが、そこはプレイヤーの愛と根性でカバーしていくしかないのだろう(笑)。ちなみに、槍、矛などの長モノ系は、私のようなヘタレな初心者にも使いやすいと思いますです。


●キャラ語りなど……

それぞれのキャラについての、語り部のたわごとなどを少々。
どんなゲームでも、絶対、私が最初にクリアするのは蜀陣営なんだけど、「三國無双4」の蜀の人たちって、女性陣も含めみんなまじめすぎて、少しばかり面白みに欠けるかもしれない。
とはいえ、大将の劉備からして「民、民」を連呼しつつ、敵兵を斬りまくってるのがけっこうおかしいと思うんだけどね。「正義の漢」馬超なんて、どうみても小学生の程度だよ、人間の成熟度が(笑)。
蜀好き以外の人からすれば、全体的にちょっと堅過ぎて取っ付きにくいという感は否めないだろう。
その点、セリフとか聞いてて気持ちいいのは呉の面々だろうか。
まったく暴走族か不良の集団みたいなんだけど(笑)、策兄とか凌統のしゃべり方は、親しげで(って、自分に話しかけてもらってるわけじゃないんだけどさ)なかなか気に入っている。
平均年齢も三国の中で一番若いようで、一緒に戦うんなら呉軍が一番楽しそう、なんて思ったりして(笑)。軍師サマも孔明や司馬懿だったら恐いけど、陸遜なら失敗しても「いいですよ、次はがんばりましょう!」って笑って許してくれそうな気がする(ホンマかいな?)。
魏のイメージは、一言でいうと「剛直」だろうか。
3でも、夏侯惇や張遼など、見るからに武骨な感じの人が多かったが、4でホウ徳が加わったことで、よりいっそう強度を増したようだ(笑)。
さらに、ドラマ的な要素で見ても、魏が一番面白いと感じた。司馬懿と曹丕のやりとりなどまさに狐と狸で、思わずにやりとさせられたし。
数多い登場人物の中で、一番お茶目なキャラクターは、何といっても夏侯淵だろう。いつから、こんなキャラになっちゃったんだか? 3では地味であんまり印象に残らなかったんだけど……。
セリフがどれもこれも面白すぎて、クールな惇兄と対照的。特に官渡での張コウとのやりとりは傑作だった。
一人ひとり語りだすときりがないけれど、確かに、現在の私の中の三国武将のイメージ形成に、一役買っている感は否めない。このゲームをやり出してから、ずいぶん印象が変わったキャラも多い。
そういう意味では、歴史上の人物といえど、常に人々の中で進化しているのだ。

「三國無双4」の各人物伝には、それぞれにエンディングのムービーが用意されている。
息子は全キャラクリアしたので、一応すべてのエンディングは見たのだけれど、その中で私的にツボだったものをあげてみると、

★笑えるED…「張コウ伝」 ゲーム中からここの部隊は兵士まで変だった(笑)が、EDではあやしいダンスが見事にそろってる!ずいぶん練習したんだろう(爆)。
★にやりとするED…「曹丕伝」 全編通じて、曹丕と司馬懿のやりとりというのは私的にかなりツボだった。EDでの司馬懿の顔色もさることながら、すべてを見通した曹丕のクールさがたまらない。
★ほのぼのED…「関平伝」 星彩といい雰囲気で、何かこう明るい未来を予感させるようなイメージだったのになあ……。
★哀しいED…「孫尚香伝」 尚香がかわいそうすぎる。同じ女性として、ちょっとあれは許せないわ。劉備とは最後までラブラブだったのに〜〜(泣)。
★寂しいED…「黄忠伝」「魏延伝」 分かるんだけど、やっぱり寂しすぎるよ。黄忠じっちゃんなんて、ゲーム中誰よりも元気いっぱいだったから、よけい悲しい。魏延は……私、このゲームで魏延に惚れ直しました(笑)! と言うか、孔明が憎たらしく見えて困ったし。

ほかにも、諸葛亮、孫策なんかは、暗に「死」を予感させる感じが無性に哀しかった。

それにしても、一年間、本当によく遊んだこと。
指がはれる…ところまではいかなかったが(笑)、左手の指はつりかけたし、おまけに集中してコントローラーを操作するため、ものすごく肩がこるのだった。
ともあれ今年は、私にとって「無双元年」「アクションゲーム開眼」の記念すべき年となったのである。

2005/12/1

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