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インファナル・アフェア




ず〜〜っと見たくてたまらなかった「インファナル・アフェア」を、ようやく見ることができた。
アンディ・ラウとトニー・レオンの二人が出ているというだけで、「これはもう見なければ!」と思ってしまう(笑)のだが、いや〜〜、期待にそぐわず、なかなか面白かった。
何といっても、警察に潜入したマフィア(ラウ)とマフィアに潜入した警察官(レオン)という発想がいい。最初のヤマ場である、麻薬取引の現場を押さえようとする警察とマフィアの駆け引きのシーンはものすごい緊張感で、見ているこちらまで背中に汗をかいてしまった。

原題の「無限道」は、無間地獄のこと。絶え間なく続く責め苦を意味する。
正体を隠して、虚偽の生活を続ける二人にとって、毎日が「無限道」なのだ。心を許せるひともなく、自分の心にさえ嘘をついて生きなければならない。
レオンの苦悩は見ていて辛かったし、特に、自分が潜入捜査官であることを唯一知っているウォン警部が目の前で殺されたのを見たときの、かれの絶望に満ちた顔が忘れられない。

しかし……。
ラストがどうしても納得できない。後味が悪すぎるのだ。
決してバッドエンディングがイヤというのではない。もっと……もっと違う終わり方が、ここまで私を引っ張ってきてくれたこの作品にふさわしい終わり方があったのではないか。
あのままでは、トニー・レオンひとりが浮かばれない。ラウは本当に「善人」として生きていくのだろうか。過去をきれいさっぱり洗い流して。そんなに簡単に、失われた10年間が取り戻せるのか――?
結局「無間地獄」に落ちたのはレオンひとりじゃないか〜〜〜(泣)。
ラウの葛藤や心の弱さを描き切れていなかったように思うし、それがレオンにくらべてラウに感情移入できない理由のひとつなのだろう。

それにしても、特筆すべきは、初めて二人が出会うオーディオ店のシーンだ。なんともいえずいいムード。このシーンだけで満点あげたくなってしまう。真空管のアンプは、本当にいい音がするのだよ。
ところで、若い頃の二人と成長してからの二人の顔が違いすぎて、最初は訳が分からなかった。次回作のための含みとはいえ、見ている人を混乱させるだけだったのではないだろうか?

シリーズの次の作品も見たくなってきた。

(05/8/26 ブログより再録)




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