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Web拍手お礼用






<総司から歳三へ>

届かない
どんなにこの手を伸ばしても
あなたの心はつかまらない

あなたは
鳥のように自由に
梅雨晴れの空を翔けてゆくから

追いつけないよ――

私は ただじっと息をつめて
あなたを見つめている

私の知らぬ間に
あなたが空の蒼に染まってしまわぬように
私の前から消えてしまわぬように

せめてその姿を胸に焼き付けようと
黙って見つめるだけ
追い続けるだけ




置いていかないで…。
病に倒れ、自分の体が自分の自由にならなくなったとき、沖田総司はどんな思いでその事実を受け止めたのでしょうか。
剣に生き、剣に死ぬならともかく、何もできずにただ横たわったまま、静かに忍び寄ってくる死を待つことしかできない。その心情を思うと、涙があふれます。
最後まで土方歳三とともに行きたかっただろうに。
その人のために闘いたかっただろうに……総司。
せめて心だけは、最期の瞬間まで歳三の傍らにあったことを願いたいですね。

◆加筆した詩のページはこちら→「あなたへ」
◆この詩を基にしたSSはこちら→「翠雨の頃」