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Web拍手お礼用




気がつくと、街はカラフルに彩られて
高くなった空をバックに
赤や黄のあざやかなタペストリーが織り上げられている。

ああ、もうそんな季節――。
いつの間に。

ついこの間まで
暑い暑いと汗を拭っていたのに。

季節はゆっくりと歩をすすめ
野も、山も、街中の木々も
もうすぐやってくる冬じたくに忙しい。


私も前にすすまなくちゃ。
頭ではわかっているの。
でも――。

いつまでも、なくした恋の思い出にとらわれて
次の季節へ踏み出せないでいる
泣き虫で寂しがりやの私。


もうすぐ新しい季節がやってくるよ。
まっさらな朝がやってくるよ。

色づく街の木々は
臆病な私に、優しく声をかけてくれる。
ぴんと冷たい秋の風が
そっと私の背中を押していく。

ああ、そうだ。
明日はきっと、いいことあるね。
だって、未来はまっさらだもの。
この空のように。
この街のように。







久々に書き下ろした拍手お礼用の詩です。
なんだか忙しさにかまけて、この頃あまりよく外の景色も見ていなかったなあ…なんて。ふと気がつくと、銀杏並木が目にもあざやかな黄金色に変わっていて、季節の歩みの早さにびっくりしてしまいました。
厳しい冬へと向かうこの季節。
木々の彩りが目にしみるばかりに鮮やかで、どこか凛とした晩秋の空気が、結構好きだったりします。