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俺はあきらめぬ。
最後の最後まで、命尽きるその瞬間まで、
決して――。

そう言ってあなたは、
本当に最期まで、天を睨んでいた。


地獄の如き戦場。
味方であるはずの軍勢が、雪崩をうつように裏切ってゆく。
次々に討ち取られてゆく西軍の将たち。

敗残の身を山に潜め、
ついに捕えられて縄目の恥を受けても。

こんなところでは死ねぬ、と。
いつか敵を倒すその日までは、と。


あなたの目には、何が見えていたのだろう。
あなたのその燃える眸子は、どんな未来を見ていたのだろう。


道を説くには、あまりにも時代が昏すぎた。
義を語るには、あまりにも人の心が荒みすぎていた。

それでもあなたは、
理想を信じて戦い続け、
最期まで己の夢をあきらめなかったのですね。


関ヶ原に、秋風が立つ。
また、あの日がめぐってくる。
遠き日の戦場には、今も、男たちの夢の墓標が残る。







関ヶ原の合戦に敗れて捕えられ、京 六条河原で首を打たれたのは、石田三成、小西行長、安国寺恵瓊の3人です。小西行長は、キリシタンであったために、自決できなくて捕えられたようで、また安国寺恵瓊の場合は、単に臆病であったということのようですね。
では、三成はどうして死ななかったのでしょうか。
生涯の親友である大谷吉継や、最も頼りにしていた家臣 島左近らが、次々に壮絶な討ち死にを遂げていくのを目の当たりにしながら、しかし彼は決して己が生を諦めなかった。最後の最後まで、万に一つの可能性を求め続けた。
人はそれを無様だといい、臆病者だと罵るけれど――。
私には、地を這うようにして運命にあらがい続け、己の志を貫いて果てたあなたの最期が、とても高潔で潔いものに思えるのです。

◆加筆したページはこちら→「夢の墓標」