今月のお気に入り

ゴーストスイーパー美神
−ゴーストスイーパー みかみ−


今月のお気に入りは、テレビアニメの「GS美神」です。
もうすいぶん昔の作品なのですが、今見てもまったく古さを感じさせません。そして、やっぱり今でもすっごく可笑しい。本放送の時は、テレビの前で、何度おなかがよじれるほど笑ったことか。
今どきの言葉で言うなら「エロかっこいい」凄腕のボディコン除霊師 美神令子と、年中欲求不満のヘタレ助手(高校生アルバイター)横島忠夫、その他訳のわからんややこしい連中(?)がくりひろげる極上のドタバタ除霊サスペンスアニメの傑作。
もし、レンタルなどで見る機会があれば、ぜひご覧になってください。損はしませんよ〜〜(笑)。

●原作(マンガ)をしのぐアニメといえば…

この前子どもたちと話していて、話題はいつしかマンガとアニメの話に。
マンガが原作でアニメ化される作品がたくさんあるが、たいていは原作の方がよくて、アニメ化されるとがっかりしてしまう、というのが子どもたちの一致した意見だった(もちろん例外もある)。
私は近頃あまりマンガを読まないので、現在進行形のものはもうひとつよくわからないのだけれど、確かに昔からそういう傾向はあるかもしれない。
デビルマンみたいに、まったく違う作品と割り切ってしまえるくらい別モノだったらいっそ清々しいのだが(笑)、中途半端にストーリーが端折られていたり、余計なエピソードが付け足されていたり、期待しているのと違う展開だったりすると、原作を知っていればいるほどがっかりさせられてしまうことがよくあった。
最近のアニメは絵も本当にきれいになってきて、原作より整ってるやん!という場合も多いが、昔の作品はどうしても画質が落ちることが多かったしね(作監さんによって毎週登場人物の顔が変わる、なんてことは当たり前だったし)。
「それじゃ、原作よりアニメの方がよかった、っていうのはある?」ということになって、みんなで結構真剣に考えて出した答が「るろうに剣心(志々雄編まで)」「ヒカルの碁」「機動警察パトレイバー」「GS(ゴーストスイーパー)美神」……などなどだった。

この最後の「GS美神」だが、これが本当に面白かったのだ。あんまり面白くて、大枚はたいてレーザーディスクを買ってしまったほどだ。
テレビアニメがこんなに面白いんだから、きっと原作はもっと面白いに違いないと思い、後でアニメ化されている部分のコミックを買って読んでみたのだが……期待に反してイマイチだった(椎名高志ファンのみなさま、ごめんなさい)。どうも、アニメほどのインパクトがないのだ。
思うに、アニメの方は演出、脚本ともにすばらしかったのだろう。
演出は、いわゆる「間の取り方」である。怒涛のギャグの隙間にふっと空けられた空白、登場人物たちの「間」が何ともいえず可笑しかった。緊迫と脱力の波が交互に襲ってくる心地よさといったら!
それに毎回ペース配分がうまくて、だらだら間延びしたところもなく、つめこみすぎやものたりなさを感じさせることなく、30分にきちんと収めてあったのはさすがだ。
そんなわけで、原作よりアニメの方がよかった作品のナンバーワンは、「GS美神」に決定!(あくまでも、我が家の中だけの評価であるが……)
ただし、アニメは原作のごく一部(最初の方)なので、マンガはその後かなり違う方向にストーリがふくらんでいったらしい。いつか、きちんと全篇を読んでみたいと思っている。

●個性あふれる登場人物たち

さて、アニメ全篇を通しての主な登場人物は、前述の美神令子、横島忠夫と、もうひとり幽霊のおキヌちゃんの3人である。この3人がチームを組んで、毎回困難なミッションに挑んでいく、なんていうとカッコよく聞こえるけれど、実際はとんでもないドタバタコメディである。
令子は日本でもトップクラスの実力を持った除霊師。美人でナイスバディのお姉さまなのだが(それにしても「ボディコン」って、バブル絶頂期の言葉ですな〜〜。時代を感じさせます)、彼女の頭の中には、金、金、金しかない。
GSの仕事をするのも、正義感や使命感などという安っぽいもののためではなく、金儲けこそが令子のすべてなのだ。
いやはや、まあここまで徹底されると、かえって心地よいから不思議。(ちょっぴり、昨今のホリエ○ンや村○ファンドを彷彿とさせる部分もあったり……笑)
そんな令子の色香に迷い、薄給でこき使われているのが横島。
いつもいつも本当に哀れとしかいいようのない役回りで、毎回死にかけているのだが、それでも彼は令子のためならどんな苦労もいとわない。それもこれも、横島の煩悩のなせる業、というのが笑える。人間の女にはなかなかモテないが、なぜか幽霊や妖怪の類には好かれるらしい。
おキヌは、300年前に山の噴火を鎮めるために生贄として捧げられ、地縛霊となった娘。ひょんなことから令子によって地脈から解放してもらった縁で、美神事務所に住み込みで働いている。
彼女はどうやら横島のことが好きらしい。どーして、あんな煩悩の塊みたいなヘタレ男がいいのやら、と人ごとながら思わず心配になってしまうが、そこが男女の面白さだろうか。しかも、横島は令子に夢中で、実体のない幽霊(笑)などはまったく眼中にないときている。
ああ、おキヌちゃんの純情がかわいそう……。

……と、この3人だけでもかなりハチャメチャだが、この作品にはさらに、準レギュラーともいうべきとんでもないヤツらがわんさか出てくるのだ!
令子のライバル 小笠原エミ。呪術が得意な彼女も令子と並ぶ優秀なGSなのだが、何しろ仲が悪い。なにかと絡んできては、話をややこしくしてしまう。
さらにややこしいのが 六道冥子。式神を自由に操れるはずが、いつも暴走してしまってとんでもないことになる。式神が暴走した場合は、周りの全てを破壊し尽してしまうので、周囲の者は、冥子がプッツンしないか常に怯えている。
かつては偉大な錬金術師だったが、今はモーロクしたただのじーさん ドクター・カオスと、彼がまだ天才的な頭脳を持っていた頃に作ったアンドロイドの最高傑作マリア。
精霊石やお札などを扱う専門店「厄珍堂」の主人 厄珍。令子以上に因業で、横島に負けず劣らずのスケベ親父。怪しい薬や不良品を売りつけては、令子たちを危機に陥れることしばしばの危険人物。
令子の師匠である唐巣神父と、その弟子のピート(実は吸血鬼ブラドーと人間の間に生まれたバンパイアハーフ)……などなど、まったくろくでもないヤツらが次々に登場しては、とんでもない事件をまき起こすのである。

●抱腹絶倒! でもちょっぴり大人向け?

もちろん、どの話もこの話もみ〜んな面白い。
中でも厳選の超オススメタイトルを選んでご紹介しようかとも思ったのだが、詳しく書くには内容を忘れてたりして(爆)。もう一度見直す時間もないし。
ただ、本放送が日曜日の朝8時30分からだったことを考えると、ずいぶん大胆な……というか内容的にはけっこう大人向けなのに、よく放送できたなあと思う。
今なら、間違いなく深夜放送枠だよね。
まあ、それほどストレートではないんだけど、けっこうお色気のあるシーンがでてきたり、あぶないセリフが飛び交っていたりするのだ。まあ、「キューティハニー」とか「ハレンチ学園」に通じる路線といえばいえるのかも。
この笑いの原点は、やはり横島忠夫というキャラの面白さにある。何をやっても間抜けだし、悲しくておかしい。どんなひどい目にあっても、くじけずに立ち上がる不屈の精神力、というか煩悩力(爆)。
テレビを見てて一番大受けだったのは、第27話「マリア純情一直線」。
例によって、厄珍堂のアヤシイほれ薬のせいで横島にほれてしまったアンドロイドのマリアに向かって、ドクター・カオスが言ったセリフ「女だったらイソギンチャクでもいいというヤツだぞ……」には爆笑してしまった。これって放送禁止用語じゃないの?(笑)

それにしても、13年前の作品だけど、今見ても笑えるのはさすが。人気もあったので、もっと長く続けてほしかったなあと、今でも残念だ。
横島の声をあてておられたのは堀川亮さん。「名探偵コナン」の服部平次の声もすてきだけど、横島くんの声の印象があまりにも強烈だったので、その後どんな役をしておられてもギャグに聞こえるようになってしまった……。
それにしても「GS美神」のセリフって、かなり声優さんのアドリブが入っていたんじゃないかという気がする。
見ていて「楽しいなあ〜〜」と心の底から思えるアニメである。


2006/7/1



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