今月のお気に入り

幻想水滸伝に魅せられて



今月のお気に入り、7月はマイバースデー企画ということで、思いっきり好きなことを語ってしまおう!……てなわけで、この話題。(知らない方にはつまらない内容だと思います。ごめんなさい)


●こんなにほれ込んだゲームってない!

「幻想水滸伝」というゲームをご存じですか。
現在Wまで(外伝も含めると6作?)出ているのですが、私がやったのはTとUのみなので、ここでいう「幻想水滸伝」は、T・Uのことだと理解してください。
そもそも私がテレビゲームにはまったきっかけというのは、実はドラクエUなのです(なんていうと、年がバレるな〜)。
もともとゲームは苦手だったので(インベーダーゲームとか、すぐにやられちゃう人)、結婚して(ダンナの影響もあって)ドラクエにはまるまでは、テレビゲームにさわったこともありませんでした。
今も、もっぱらRPGとシュミレーションゲームしかやらないのですが、そんな乏しいゲーム体験の中で、これほど好きになったゲームは、後にも先にも「幻想水滸伝」だけじゃないでしょうか。

◆ちょこっとメモ  「幻想水滸伝T」ってこんなゲーム
主人公は赤月帝国の大将軍テオ・マクドールの息子(坊ちゃん)。親友であるテッドの死をきっかけに、死の紋章・ソウルイーターを譲り受け、帝国打倒を目指す解放軍に身を投ずることに。解放軍のリーダーであるオデッサから後を託され、帝国軍人である父との死闘、さまざまな苦難を乗り越え、彼は指導者として成長していく。108人の仲間を集め、本拠地を充実させつつ、戦争イベントやさまざまなストーリーをクリアしながら帝国軍と戦っていく、というストーリー。水滸伝の108星になぞらえた仲間たちや、敵側のキャラたちもみんな個性的で、魅力あふれる人物造形が秀逸。

◆ちょこっとメモ  「幻想水滸伝U」ってこんなゲーム
解放軍によって赤月帝国は消滅し、トラン共和国が設立された。それから3年後、北方のハイランド王国とジョウストン都市同盟は果てしない抗争を続けていた。ここがUの舞台である。主人公と義理の姉ナナミ、幼なじみのジョウイは、ふとしたことから両勢力の戦いにまきこまれ、やがて3人の運命は、思いもかけない方向へ動いていく。主人公は都市同盟のリーダーとして狂王子ルカ・ブライトと戦い、ようやくこれを倒すのだが、その後を継いで彼らの前に立ちふさがったのは、ジョウイだった……。
UではT以上に、登場人物たちに詳細なストーリーが与えられ、それぞれのキャラクターが際立っている。Tから引き続いて登場する仲間も多く、最初にTのクリアデータを入力しておくと、あっと驚くうれしいオマケも。


手に取ったのは、ほんとにたまたまでした。水滸伝が下敷きにあるようだし、BEST版になってるんだから、なんか面白そうかな?ぐらいの軽い気持ちで。それがこんな泥沼になろうとは(笑)。
とにかく話が面白い!
当時、画期的だといわれたFFなどに比べれば、ムービーなんか全然たいしたことない(スミマセン……汗)のに、それなのに、もう、このすばらしさはなに?って感じで、どんどん「幻想水滸伝」の世界にはまり込んでいってしまう自分をどうすることもできません。取り憑かれたというか……。ほんとに、涙が出るくらい“好きっ!”でした。
こんなことを書くのはおこがましいのですけれども、作者とすごく肌が合うというか、ストーリーも絵柄もステキなのはもちろんのこと、ここにこんなエピソードがあればとか、こんなギャグがあったらいいのにとか、思うところにちゃんとあるのですよ〜〜!随所に出てくる遊び心も、痒いところに手が届く心配りで、ツボを突かれまくりでした。

ストーリーとは別に(もちろん、連動しているのだけど)、108人の仲間を集めるっていうのが結構大変で、まあ、それがこのゲームの楽しみでもあり、醍醐味でもあります。何といっても、登場人物それぞれにちゃんとした物語があるというのがいいですね。
「幻水T」の方では、ハードの関係で泣く泣くカットされた部分も多かったようで、イマイチ印象に残らなかったキャラもありましたが、「幻水U」ではかなり細かいところまで作り込まれていたように思います。
108人のそれぞれが、個人としてしっかりと立っていて、そのバックグラウンドまでを想像できるほど個性豊かに描かれており、一人としてなおざりにされていないのですから。

●ああ、愛しのビクトールさま!

数多い登場人物の中で、私のお気に入りはなんと言っても“風来坊ビクトール”さんです。32歳の男盛り(きゃ〜〜)で、通称「クマさん」(あはは……)。
も〜、も〜、も〜、彼の何もかもが、死ぬほど好きっ!
とはいうものの、「幻水T」でビクトールが初めて登場したときの印象は“うさんくさい奴”でした。言動も風体も限りなくアヤシイ……。こんな男に逃亡の身を託した主人公(マクドール家の坊ちゃん)は、人を見る目があるのか、それとも相当におめでたいのか?(笑)
そんな彼、ビクトールのことを好きで好きでたまらなくなったのは、いつからでしょう?オデッサが死んでとまどう坊ちゃんを、ビクトールが励ますあたりからでしょうか。グレミオの遺品を黙って持って帰り、後で坊ちゃんに託す心配りにもほろりとさせられました。
Uでも、親友と戦わねばならない主人公の心の痛みを一番理解していたのは、ビクトールだったような気がします。
攻略本のキャラクター紹介のところに、開発された方のコメントが書かれているのですが、「ビクトール/いろいろなものをその内に秘めながらも、決して外には出さない男」と。まさにそのとおりだと思います。
自分のつらい過去や怒り、悲しみ――そんなものをすべて内に包み込んで、だからこそ人に対しては限りなく温かく、優しくなれる。武骨そうに見えて実はとても繊細な心を持った人。
オデッサを失ったフリックに対して、グレミオを犠牲にせざるをえなかった坊ちゃんに対して、ナナミが死んだ後の主人公に対して……。ビクトールがどのように接したか、それがどれほど彼らの心の救いとなったか、想像に難くありません。ビクトール自身、幾度となく愛する者を失う悲しみを経験してきたからこそ、の優しさだといえるでしょう。
自分を決して偽らず、己の信じるもののために命を懸けて戦う、まさに原書水滸伝にいうところの“好漢”そのもの。そう、「男がほれる男」というやつです。
世間ずれしているかと思うと不器用で(ちょっぴりオチャメで)、自分を厳しく律しながら、他人には温かいまなざしを向けられる大人の男――そんなビクトールが大好きです。

◆ちょこっとメモ  ビクトールってこんな人
TでもUでも、結構早い時期から主人公に関わり、最後までその片腕となって活躍する重要な役回り。通り名は「風来坊ビクトール」、宿星は天孤星。ちなみに原書水滸伝での天孤星は、花和尚魯智深である。
「108星キャラクターガイド」によれば、「大ざっぱな性格で一見がさつな雰囲気だが、その心の裏には常に悲哀が見え隠れする。だが、それを決して表には出さない生き様が、多くの人を惹きつけている」とある。実は彼自身、ふるさとの村を吸血鬼ネクロードに滅ぼされ、家族や恋人をすべて失うというつらい過去を持っているのだ。トラン解放戦争や都市同盟の戦いに加わりながらも、ネクロードを倒すことがビクトールの旅の最終目的だったといえるだろう。
解放軍の副リーダーだったフリックとは、お互いに「腐れ縁」といいつつ、いいコンビ。


「幻想水滸伝」に入れ揚げていた頃の私にとって(そして今でも)、ビクトールこそ男の理想像です。うんと若い頃は、新選組の土方歳三だの、テレビアニメ「宝島」のジョン・シルバーだの、どっちかというと破滅型というか、そばにいると不幸になるだろうな〜〜っていうタイプの男に惚れていたものですが……。
昔は、男としての理想と伴侶としての理想は違う、なんて生意気なことを言っていた私ですが、今なら心からこう言えます――「なにはなくとも、ビクトール!」って。
男として、人間としての彼の生き方、その器の大きさ。私が男だとしても、きっと尊敬し、ほれ込んだに違いありません。
そしてまた、一人の男性として、人生の伴侶としても、これほどすばらしい人はいないでしょう。もし彼のことを待っているひとがいたとして、ビクトールなら、どんなことがあってもきっと、そのひとのもとへ帰ってきてくれるに違いないと思うから(女にとって、これほどうれしいことはありませんよね)。
さらにまた、シュワちゃんなみに逞しい?ビクトールさまがそばにいてくれたら、砂漠の真ん中だって、ジャングルの中だって、はたまたミサイルが飛び交ってる下だって、きっと安心して熟睡できるはず……。何かあれば、かついで逃げてくれそうだし(笑)。

ところで、「幻水U」でひとつ気になったのが、アナベルがもしジョウイに殺されていなかったら、二人の仲はどうなっていたのだろうかという事です。ホンネを言えばとっても悔しいのですが(笑)、そろそろビクトールにも幸せになってほしいな、と。
フリックとはほんとにいいコンビで、いつまでも二人で自由気ままな風来坊暮らしもいいけれど(それが似合っているのだけれど)、でも、彼の人生のほんの少しの時間でもいいから、幸福な思い出を持たせてあげてほしい――そう願わずにはいられません。
そんな綿菓子みたいなぬくぬくとした生活に、いつまでも納まっていられる彼ではないでしょうが、ほんのひとときでもいい、ビクトールさまにも心の安らぐ日々を過ごさせてあげたいと、心底思う私です。

●後悔先に立たず、という苦い教訓

さて、このゲームには、もうひとつ忘れられない思い出があります。
「幻水T」で108人のうち最後のひとり(レオン・シルバーバーグ)が、訪ねるタイミングが悪かったのか仲間になってくれず、結局グレミオを生き返らせることができなかったのです。何度かチャレンジしたものの、ほかの誰かが死んでしまったりして、どうしてもうまくいかなくて、とても悲しい思いをしました。
という苦い思い出があったので、Uをやるときは、取りこぼしのないように、それはもう慎重に……(笑)。そのおかげで、バッチリ3人揃ったハッピーエンディングを見ることができたのでした。
ところが――!
何ということでしょう。最初に入力したTのデータでは、グレミオが死んでいるために、本当なら出てきてくれるはずの場面で、出てこないではありませんか!
うっそ〜〜!なんでっ?こうなったら、絶対、ぜったい、ぜ〜〜ったい、生き返らしちゃるっ!というわけで、気合を入れてTを最初からやり直しました。苦労の甲斐あって、ついに生き返りましたわよ、グレミオさま。そして、そのままのモードでUに突入し、ようやくゲストキャラで登場してくれたグレミオさまとの再会を果たすことができたのです。
こうして、ほぼ1年間にわたってお付き合いした「幻想水滸伝」。
特にUの方は、やればやるほどどっぷりとはまり込んでしまうというか、久々に生活のすべてをなげうって(爆)のめり込めるゲームに出会えた!っていう感じの、至福の数ヶ月でした。
こんなすばらしいゲームに出会えた奇跡に。そして、「幻想水滸伝」を世に送り出してくださったスタッフのみなさまに、心からの感謝を込めて――。

◆マイバースデー企画というのを口実に、思いっきり好き放題させていただくってことで、「ビクトール好きさんに100の質問」に答えてみました。見てやろうという(心の広い)方は、こちらからどうぞ。

2005/7/1

●「幻想水滸伝」公式ページ

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