今月のお気に入り

ガメラ2 レギオン襲来




突然ですが、ガメラです。
怪獣映画です(笑)。
今年最後のお気に入りは、平成ガメラシリーズの中でも、一番面白かった「ガメラ2 レギオン襲来」について語ってみようと思います。

日本の怪獣映画といえば、やっぱりゴジラでしょうか。なにしろハリウッドにまで進出しましたからね。
でも、どちらかというと私はゴジラよりもガメラが好き。そういえば、小学生のとき、初めて友だちだけで近くの映画館へ見に行ったのが、第1作目の「大怪獣ガメラ」だったし、子どもの頃から「ガメラ派」だったんですね。
さらに、平成になって新しいガメラ3部作が作られると、これがものすごく面白くて、家族みんなで映画館まで見に行ったものです。
昔のシリーズは、子ども向けのまさに怪獣映画でしたが、平成のガメラはよりリアル感を追求し、「大人の鑑賞にたえる作品を」というコンセプトで作られた、真っ当なSF映画だといえるのではないでしょうか。
中でも、2作目の「ガメラ2 レギオン襲来」は、本当によく練られた傑作でした。
この作品では、ガメラ対レギオンという怪獣同士の戦いよりも、むしろ突然怪獣に襲われたら、我々人類は、日本政府は、自衛隊は、どう対処しどう戦うのか、という点に焦点が当てられています。
ゴジラシリーズのように、メーサー戦車やスーパーXといった科学兵器が登場するわけでなく、現有の武器と戦力でいかに戦うことができるかという、実にスリリングで現実的な展開なんですね。首都防衛ラインの設定などは、実際に北部から仮想敵国(笑)が攻めてきた時の対処法を見るようで、非常に興味深く感じました。
むろん主役はガメラなのですが、自衛隊の活躍や人間ドラマの部分もちゃんと描かれていて、しかもそれが乖離することなく作品に深みを与えており、実に見事な脚本と演出だったと思います。
また、全篇シリアスな作りながら、ただ重苦しいだけの映画では決してありません。ところどころに散りばめられたちょっとしたギャグがきいていて、すごく楽しい。前作の「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」でも、「機動警察パトレイバー」を思い起こさせるギャグシーンには、思わずにやりとさせられましたが、今回も、伊藤和典氏のギャグセンスは健在です!
そして、何といっても見終わった後の爽快感。
一度はズタボロにやられたガメラが、子どもたちの祈りで復活するところや、自分よりはるかに強大なレギオンに果敢に立ち向かっていくところでは、思わず拍手喝采したくなりますし、人間たちもよくがんばったなあと、心の底から同調できる「気持ちのいい映画」でありました。


●あらすじ(ウィキペディアより抜粋)
ギャオスとガメラとの戦いから数年後の冬。北海道周辺に謎の流星雨が降り注ぎ、その内の一つが札幌近郊の恵庭岳近くに落下した。直ちに陸上自衛隊の渡良瀬<永島敏行>たちが出動し調査にあたるが、懸命な捜索にも関わらず、隕石本体は発見できなかった。
現場で渡良瀬と出会った札幌市青少年科学館学芸員の穂波<水野美紀>は、「隕石が自力で移動したのではないか」と推測する。それを裏付けるように、近郊ではビール工場のガラス瓶やNTTの光ファイバー網が消失するという怪現象が多発。その発生地点は、札幌市内に向かい少しずつ移動していた。
隕石落下から5日目、札幌市営地下鉄南北線の車両が落盤したトンネル内で脱線し、乗員・乗客が謎の怪生物に襲撃されるという事件が発生する。更に、地下に出没した怪生物に呼応するように、数十mの巨大植物が、すすきののデパートを破壊して出現した。
怪生物(群体)と植物(草体)は、流星群と共に外宇宙から飛来したものであり、2つは共生関係にあると考えられた。群体は餌としてシリコンを喰い、その分解過程によって発生した大量の酸素で草体を育てるのだ。穂波は、草体は種子を宇宙に打ち上げて繁殖するのではないかと考える。コンピュータがシミュレートした草体の爆発力は、札幌を壊滅させるに充分なものだった。
自衛隊による草体の爆破準備が進む中、三陸沖から浮上したガメラが飛来。ガメラは草体をプラズマ火球で粉砕し、札幌壊滅の危機は去る。しかしその直後、地下から現れたおびただしい数の群体がガメラに群がっていく。小さな群体の攻撃に成す術も無く、ガメラが退却した直後、地下より羽を持った巨大なレギオンが出現し、夜空に飛び去った。巨大レギオンは、緊急発進した戦闘機のミサイル攻撃により津軽海峡で撃墜されるが、洋上からは羽の一部しか発見されず、レギオンたちは行方をくらましてしまった。
解剖などの結果から、レギオンは特定の電磁波によってコミュニケーションし、電波を発する物を自らを妨害する敵と見なして攻撃する習性を持っていることが分かる。その事実は、電波の過密する大都市が襲われる事を示唆していた。
やがて、仙台市街に草体が出現する。札幌より温暖な仙台では草体の成長が速く、自衛隊の対応は間に合わない。種子発射が時間の問題となり、全域に避難命令が発令された仙台には、スキー旅行に訪れていた、かつて「ガメラと交信した少女」草薙浅黄<藤谷文子>の姿もあった。
再び草体を駆逐すべく飛来したガメラの前に、巨大レギオンが出現。ガメラを上回る巨体と圧倒的な力で襲いかかる巨大レギオンに、ガメラは苦戦を強いられる。そしてついに、草体から種子が発射された。ガメラは自分の身体で種子を受け止め、発射を防ごうとするが、核をも凌ぐ強大な爆発のエネルギーによって、仙台は消滅。ガメラも全身が黒く焼け焦げ、死んだように動かなくなってしまう。
ガメラによって2度の種子発射に失敗したレギオンは、総力で東京を目指すと予測された。日本政府は非常事態宣言を発令、レギオンの予想進路上に防衛ラインを構築する。
ついに出現した巨大レギオンに対し、自衛隊は総攻撃をかけるが、有効なダメージを与えることが出来ず、防衛ラインを次々と突破されてしまう。一方仙台では、穂波や浅黄、子供たちが集まり、ガメラの復活を祈っていた。その祈りを受けて、ガメラが復活。レギオンとの決戦に飛び立つ。
東京に向かうレギオンを、必死に食い止めようとするガメラ。果たしてガメラは、無事にレギオンを倒せるのか。そして日本の、地球の運命は……。


はあ〜〜、すごく長い「あらすじ」になってしまいました。これでもかなりカットしたんだけどなあ。私が書くこと、これ以上何もないやん(笑)。
もちろん、話の展開上必要とはいえ、あれほど簡単に民間人が自衛隊の中枢に関与できるはずはないだろうとも思うし、ガメラ復活のシーンはドラゴンボールの元気玉の二番煎じみたいだったし、また一部には、自衛隊の宣伝映画みたいだという批判もあったそうですが……。
それでも、そんな諸々を差し引いても、否応なしに身体の中から湧き上がってくる興奮を抑えられない、文句なしに楽しめた作品でした。これぞエンターティメント!ですね。

さて、昔のガメラといえば「子どもたちの味方」「人類の味方」だったのに対し、平成版ガメラは「地球の守護神」として描かれています。
映画のラストシーンで、穂波は「ガメラの敵にはなりたくないよね」とつぶやくのですが、これがけっこう実感にあふれてるんですよね。いつまでも、今のような人類の勝手で自然環境を破壊したり、生態系を壊し続けていれば、いつかガメラの鉄槌がわれわれ人類の上に下される日が来ないとも限らないのですから。
ガメラが本当に、地球の生態系を守るための守護神として存在しているのであれば……。今や地球にとっての最大の敵は、人類なのかもしれません。
ガメラのプラズマ火球は、そんな人類の驕りを一瞬で消し飛ばしてしまうほどの威力を持っていて、それはまた、現代の環境破壊に悲鳴を上げる地球の怒りの炎のようにも思えるのです。


2006/12/4


「ガメラ公式ホームページ」


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