いにしえ夢語り浅葱色の庭讃・新選組


――だいじょうぶ

  「薄桜鬼」平助ED後の二人




「大丈夫――」

……そう。
どんな時も、あなたはそう言って力強く笑う。
あなたの「だいじょうぶ」は、
何よりも私に元気をくれる。


――大丈夫、心配すんなって。

――大丈夫だよ、これくらい平気だ。

――俺は大丈夫だから。


きっと、私に心配かけまいとして、
いつの間にか口癖になってしまったんだね。


私、泣き虫だから。
いつも不安で、寂しくて、
あなたが傍にいてくれないと、一歩も前に進めない。

きっとこの弱い心が、
あなたまで不安にしてしまうのでしょう。
言葉に出して、
確かめなければいられないくらいに。


――大丈夫。
俺どこへも行かないから。
ずっとお前の傍にいるから。
だから、大丈夫――。


最期まで、あなたはそう言って笑ってた。
羅刹の力を使い果たし、
いつ体が崩れて消えるかもしれない。
そんな不安と隣り合わせの毎日の中で。


どれほど辛かっただろう。
どれほど怖かっただろう。

朝に、夜に、
目が醒めるたび、眠りに落ちるたび。
自分がまだ存在している奇跡を、
祈るような思いで確かめることしかできない日々。


それでもあなたは、
感情を高ぶらせることもなく、
ただ、穏やかに微笑んでいた。

きっと、私のために。
私のためだけに、
笑っていてくれたんだね。


「だいじょうぶ――」


……そう。
今度は私がつぶやく番。

私は、もう、大丈夫だよ。
だから、心配しないで。


だって、あなたはいつも、私の傍にいてくれるから。
あなたの温かさを、この胸が覚えているから。


これからは、
ずっと、私が笑っているね。

空の上から、私を見守ってくれている、
優しいあなたのために――。



あなたには、いつも笑っていてほしい
マゴムギさん作の平助くん♪
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◆◇「――だいじょうぶ」によせて◇◆

「薄桜鬼」の平助エンディング後の二人、という設定で書いてみました。
エンディングで、本当に優しそうな笑顔でヒロインを見守っていてくれた平助。
ああ、生きていてくれたんだ。もう、それだけでいい…なんて思ってしまいましたけど、考えてみれば、羅刹になるのも一番早かった平助ですから、おそらくそれほど長く生きられたとは思えないんですよね。
たぶん、あれからほどなくして、平助の命は消えてしまったんだろう――。
そこまでの日々を、二人はどんな風に過ごしていたのかなぁ、って思うと、何だかとても切なくて。
ヒロイン(千鶴)は、きちんと平助の死を受け止められたんだろうか、とか。
短い間でも、二人はきっと幸せだったんだろうなあ、とか。
随想録のエンディングはめちゃくちゃ甘くてラブラブだったけど、やはりその先を考えると悲しくて…。私にとって「薄桜鬼」は、どこまでも切ない物語なのです。



BGM Physalis alkekengi var. franchetti/From「SOUND IMAGE」

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