いにしえ・夢語り物置小屋駄文の部屋



《To Aragorn From Eowyn 》

あなたの瞳に宿る深い哀しみは
私の力ではいやせないのでしょうか
この世の真実を映す
空色の瞳

  たとえ世界が絶望の闇におおわれ
  最後の希望が消え果てようとも
  あなたは決してあきらめない
  立ち止まり 膝を屈しはしない

    その強さは
    あなたがいつも胸底に抱きしめている
    愛しい方への愛の力のせい?


わかっています
私の恋はかなわぬ願い
この想いはあなたには届かぬのだと

ああ あなた
心優しき戦士よ

  ほんのひととき立ち止まり
  私を振り向いてはくださいませんか

    (私に笑いかけて 私を好きだと言って)

    ……とうにあきらめた 哀しい夢……


愛する方の面影は
なぜそんなにもあなたを苦しめるの? 
何をためらっているの?

  人間が か弱く 傷つきやすく
  限りある命であることは
  それほど罪なことですか

    ひとであれ エルフであれ
    愛しいと思う心に
    偽りなどあるはずもないのに


もし許されるのなら
せめて今宵一夜
そのアイスブルーの瞳の奥に宿る哀しみを
私の胸にあずけてください

    恋しいあなた――



エオウィンからアラゴルンへ

「ロード・オブ・ザ・リング」の第2作「二つの塔」は、私が初めて映画館へ2度見に行った映画です。
とにかくアラゴルンさまが好きで好きで……。上映期間がもう終わる、という寸前になって、矢も盾もたまらず映画館へ足を運びました。
「二つの塔」では、報われないと知りつつ、アラゴルンに激しい恋心を抱くローハンの姫君エオウィンに、まるで我が事のように感情移入をしてしまったのです。
彼女が慕ったアラゴルンには、美しいエルフの姫アルウェンという恋人がいます。
どんなにあなたのことを想っても、あなたの心は決して私に向くことはない。
分かっていても、それでも、あなたを愛さずにはいられない……。
そんなエオウィンの切なさは、今まさにスクリーンを通してアラゴルンに恋している私の気持ちを映すかのようでした。

この詩も、他の「ロード〜」の詩と同様、涼さんのサイト「POEM HOUSE」の1コーナー「Fantasy Garden」の掲示板で、キリバンを踏んだ記念に詠んだもの。
「Fantasy Garden」には、この詩に対するアラゴルンからエオウィンへの返歌という形で、涼さんが詠んでくださった詩もあわせて掲載されています。(12/2)


BGM 夢の痕 /From「遠来未来」