いにしえ夢語り千華繚乱の庭繚乱エッセー>コミック



ボクを包む月の光
−ぼく地球次世代編−



昔大好きだった日渡早紀さんのマンガ「ぼくの地球を守って」(←以下「ぼく地球」と略す)の続編が出ていると知ったのは、つい最近のこと。
作者は次世代編と呼んでいるようだが、「ボクを包む月の光」(←以下「ボク月」と略す)というタイトルで、今のところ単行本が2冊出ている。
ためしに……と思って1巻を読んでみたら、これがすごく面白い! で、すぐに2巻目も買い、続編を楽しみにしているところだ。

さて、その次世代編。シリアスで重いテーマだった「ぼく地球」とはまったく雰囲気が違うお話で、ちょっとびっくり。
「ぼく地球」の主人公、輪とありすができちゃった結婚(わはは〜〜!)して生まれた子ども、小林蓮(れん)が主人公なのだが、なにしろまだ小学校2年生。しかも前作の輪は、外見は7歳でも中身はシオンという立派な大人だった(この設定だけ聞いたら名探偵コナンみたいやね…笑)けれど、蓮は内も外もそのまんま7歳の少年である。
かかわってくる友人たちも小学生ばかりだから、一見すると少女マンガという範疇には入らない、一風変わった作品だ。どっちかというと、絵で読む児童文学(ファンタジー系)みたいな……。
それでも、実際のパパとママである輪とありすはもちろんのこと、もう一組の両親ともいうべき紫苑と木蓮や、未来路や春ちゃん(笠間春彦)がしっかりからんでくるところはやっぱり少女マンガだし、「ぼく地球」ファンなら懐かしさのあまり感涙にむせんでしまうだろう。
春ちゃんがかなり重要な役回りで(「ぼく地球」の男性キャラの代表みたいな感じで)登場してくるのは、ちょっと意外だった。これって、本来なら迅八の役割なんじゃないの?と思ったりもしたのだけど……。
それから、私の大好きな未来路も出てきてくれる。なにしろ本作のヒロインともいうべき蓮の同級生カチコは、未来路の娘(!)なんだから。未来路自身は今アメリカに行っていて、たまにしか顔を出さないのだが、あいかわらず「いいひと」パワー全開だ。
ほんまに好きやわ〜〜、未来路はん(笑)。

それにしても、今でもありすママが歌うと花が咲くし、輪パパは空を飛んでいる(笑)。カチコは瞬間移動ができるし、蓮はまだパワーは小さいけれど、いろんな能力を秘めてる感じ。
不思議な人たちの不思議な世界の物語。でも、話全体がすごくあったかくて、読んでいて気持ちがじんわりほっかりするのだ。
自分が年を取ったせいかもしれないけれど(笑)、近頃はこういったホンワカした話がいいな。昔大好きだったあまりにハードで暗い世界は、この年になると疲れちゃうのかもね。
実をいうと、「ぼく地球」の輪くんはあまり好きではなかった。性格ひねくれてるし、何考えてるかさっぱりわかんないし、ありすに対してもイマイチ煮え切らないし……。
さすがにラスト近くになってからは、感情移入もできたけどね。
どっちかというと、熱くてまっすぐな小椋迅八の方が好みだったりする(玉蘭はきらいなんだけど〜〜)。
でも、「ボク月」の輪パパはとってもステキでかっこいい!
ありすと結婚して、性格変わったか? 優しくて、おちゃめで、情熱的で……家族のことをものすごく大切にしてて、理想的なパパである。
それに、「ボク月」に出てくる紫苑と木蓮が、いつも一緒でとても幸せそうな顔をしているのが、私には本当にうれしいのだ。ああ、ようやく二人の心がひとつになって、今は幸せなんだね、って。
「ぼく地球」を並行して再読してたから、よけい二人の事が気にかかるのかもしれないけれど、この後日譚を読んで、「よかったなあ〜〜」って心から思う。
「ボク月」は今も連載されているようなので、これからの展開が楽しみだ。
(06/3/19 ブログより再録)



BACK