今月のお気に入り

ベルサイユのばら



今月のお気に入りは、懐かしいマンガ「ベルサイユのばら」です。
今ある私のマンガ世界の原点となったといってもいい作品。
ただ、結婚する時に全部実家に置いてきてしまい、肝心のコミックスが手元にありません。ン十年前の記憶だけを頼りにしていますので、内容に間違いがあったりするかもしれませんが(最近物忘れも激しいですし……)、そこはご容赦ください。


●少女マンガ→少年マンガ→そして「ベルばら」へ

ものごころついた頃から、すでにマンガが隣にあった私。両親からは「マンガ本さえ与えておけば、おとなしい手のかからない子」と思われていたようです(笑)。
私の場合、小学校低学年くらいまではごく一般的に「りぼん」「マーガレット」「少女フレンド」などの少女マンガを読んでいましたが、それ以降高校生までは、「少年マガジン」を愛読する「少年マンガ大好きっ子」でした。
家が客商売をしていた関係で毎週購読していたから、ということもあるのですが、それより何より当時の「少年マガジン」はまさに黄金期で、「あしたのジョー」「巨人の星」「愛と誠」「デビルマン」などの傑作が続々連載されていたのです。
それに比べて少女マンガはというと、当時主流だった「ラブコメ」路線にもうひとつ共感できず、少女マンガは面白くないと(もちろんそれは私の勝手な思い込みで、実際にはすばらしい作品もたくさんあったのでしょうが)わざと近寄らなかったのですね。
そんな少年マンガどっぷりだった私が、少女マンガに舞い戻ったのは、大学生になってから。友人が貸してくれた「ベルサイユのばら」がきっかけでした。
当時タカラヅカで上演されていたこともあって、世はまさに空前のベルばらブーム。そのブームにあっさり乗ってしまったといえばそれまでですが……。
ただ、やはり作品の持つ力の大きさというか、その魅力が本物だったことは間違いありません。もともと歴史モノが好きだった私は、池田理代子さんの描く壮大な歴史ロマンの世界にあっという間に魅入られてしまったのでした。

いやあ、はまりましたねえ(笑)。
今思い出しても恥ずかしいくらい……。当時は、マンガのセリフとかみんな覚えてましたもんね。
私のお気に入りは何といってもアンドレで、後半のオスカルへの報われぬ恋心の切なさがツボでした〜〜。身分違いの恋を胸に秘めて、影のようにそっとオスカルを見守る彼の優しさに、幾度となく涙したものです。
相前後して、大学の友人たちと初めて見に行ったタカラヅカにも、思いっきりはまりましたし。「ベルサイユのばら」の主人公である男装の麗人オスカルは、タカラヅカにとってはこれ以上ないくらいぴったりの題材だといえるでしょう。
見に行ったのが、私にはとってもツボな「アンドレとオスカル編」だったこともあって、安奈淳さん扮するオスカルの凛々しさ、さらに榛名由梨さん扮するアンドレの息を呑むばかりの美しさに、そりゃもう夢中になりましたね〜〜。
何しろ全くのタカラヅカ初体験でしたから、世の中にこんな華麗で夢のような世界があるのか、とボーゼンとなったものです。
こうして、いつの間にやら少年マンガから少女マンガへ回帰した私。
「オルフェウスの窓」は、内容的にあまり好きになれませんでしたが、「おにいさまへ…」なんかは結構夢中になって読みました。
そんなこんなで、それ以降の私の絵柄に、一番影響を受けたのが池田理代子さんではなかったかと思います。


●今さらながら「あらすじ」など

みなさんよくご存じの作品だと思うし、あらすじといっても今さらですが、ウィキペディアから拾ってみると――。
「『ベルサイユのばら』は、雑誌「週刊マーガレット」(集英社)に1972年21号から1973年まで連載された。近世末期のフランスを舞台に、ルイ15世末期からフランス革命の時代を描いている。前半はオスカルとアントワネットの二人を中心に描き、中盤以降はオスカルを主人公として、フランス革命に至る悲劇をリアルに描ききっている。」
と概要が書かれています。
絶対王政が揺らぎ始めた18世紀ヨーロッパ。フランス革命へと向かう激動の時代を背景に、フランス王妃マリー・アントワネットとその恋人であるスウェーデン貴族フェルゼン伯爵、近衛連隊長を務める男装の麗人オスカルと、彼女を影のように支えるアンドレの、4人の男女の恋と運命を描く歴史大河ロマン、というところでしょうか。

ではここで、私自身のおさらいの意味も込めて(笑)、同じくウィキペディアから、あらすじを抜き出してみましょう。
「1755年12月25日、フランス王国の貴族であるジャルジェ家に、1人の女児が生まれた。父親であるジャルジェ将軍は、家督を相続する男児の誕生を長い間待ち焦がれていたが、生まれたのは6人目の女児だった。痺れを切らした将軍は、『オスカル』と名づけられた末娘を男として育て、後継者とすることにした。
オスカルは若くして近衛連隊長(階級は准将)となり、オーストリア生まれの王妃マリー・アントワネットの寵愛を受ける。しかし、オスカルはそれをかさにきることなく、誠実な友人としてアントワネットに良い王妃となるよう諭す。しかし、アントワネットはオスカルの言葉の真意を理解することが出来ず、「自分が幸せであれば国民も幸せである」と考え、国民の税金を自らの華麗な生活(服飾品や娯楽、賭博の掛け金など)、またはごく一部のお気に入りの貴族たちのためにどんどん浪費してしまい、国家財政を窮乏化させる。苦悩するオスカルはやがて、スウェーデン貴族フェルゼンを愛するようになるが、フェルゼンの想い人がアントワネットであることを知り、思いを伝えることなく身をひく。そして、自分を幼い時からずっと見守ってきてくれた幼馴染で従卒のアンドレが自分に寄せている愛に気づくようになり、次第に彼に心惹かれていく。
一方、ロベスピエールら革命家に接し、さらに民衆の窮乏を自分の目で確かめたオスカルは、次第に貴族中心の社会に疑問を持つようになる。そして、オスカルは次第に民衆寄りの言動をおこなうようになる。そのころ、パリでは苦しい生活に耐えかねた民衆が次第にアントワネットや貴族たちに憎悪を向けるようになり、時代は革命へと一気に突き進んでいった。
そんな不穏な情勢の中、オスカルはアンドレと結ばれる。だが、フランス革命は、オスカル、アンドレ、そしてマリー・アントワネットを過酷な運命へと巻き込んでいく……。」

当然ながら、マリー・アントワネットやフェルゼンを始め、多くの登場人物は実在の人たちであり、作品の中で描かれるさまざまな事件も、実際にあった史実をもとにしています。
そんな中で、主人公のオスカルは、全くの作者の創作である架空の人物です。「男装の麗人」という設定も、女性である主人公がより自由に歴史の舞台で活躍できるように、という作者の意図だったのだろうと思いますが、これが実に絶妙なんですね!
さすが池田理代子さん。史実と創作をうまく融合させながら大河ドラマを紡いでいく、ストーリーテラーとしての手腕は本当にすばらしいの一言。歴史モノ大好きな私のツボを突きまくりです。
このマンガに影響を受けて、フランス革命やヨーロッパの歴史に興味を持たれた方も多いのでは? これって、実にマンガ家冥利に尽きますよねえ。


●アンドレさまが…好きっ!

当時の連載マンガとしては、かなり長く続いた「ベルサイユのばら」。池田理代子さんの絵柄も、最初の頃のかわいい少女マンガっぽい絵から、回が進むに従って、どんどんシャープに美麗になっていきましたね。
そしてお話の方はというと、前半は、アントワネットとオスカルの出会いから始まって、アントワネットとフェルゼンの許されざる恋、さらにはオスカルがフェルゼンに想いを寄せて……という三人の恋模様を中心に話が進んでいくのですが、後半は、同じ人間でありながら貴族と平民という身分に隔てられた社会に疑問を抱くオスカルの、愛と葛藤と人間的成長を中心に描かれていきます。
その後半部分で、俄然存在感を増すのが、オスカルの乳兄弟であるアンドレ。
最初はまったく脇役的扱いでしかなかったのに、オスカルをかばって片目を失明したあたりから、翳のある役回りで、たまらなくかっこよくなってきます。
アンドレ、ほんとにいいんですよね〜〜。
マンガの登場人物に、「男性として」これほどほれ込んだのは初めてかもしれません。私の「ベルばら」はアンドレとともにある、と言ってもいいくらい(笑)。それくらい大好き。

最後までオスカルだけを見つめて、彼女のためだけに生き、彼女のために命を落としたアンドレ。
女の側からすると、パートナーとしてこれ以上ないっていうくらい理想の男性なんじゃないでしょうか。少なくとも、当時はそう思っていました。
何しろ、わがままは全部聞いてくれるし、何があっても笑って許してくれるし、いつも陰で支えてくれて、後ろを振り返ればいつもそこにいてくれる。誠実で分別があって、決して自分の価値観やわがままを押し付けたりしない。彼の心はいつも私に向いていて、私のことだけを考えていてくれる……。
ね、女性として、これほど理想的なお相手はいないでしょう?
当時の私は、男としての理想と伴侶としての理想は違う、なんて生意気なことを言っていました。今はちょっと違うんですけど(笑)、アンドレはまさしく伴侶としての理想だといえるのではないでしょうか。

さらに、アンドレのオスカルへの想いは、決して報われることのない無償の愛であるというところが、ほんとにツボだったんです。
オスカルの乳兄弟として、幼い頃からともに育ってきたアンドレ。
いつも、きみはそこにいた。手を伸ばせばすぐそこに、きみの笑顔があった――。
でも、貴族であるオスカルと平民であるアンドレが結ばれることは許されません。そんなことは百も承知だったでしょうから、アンドレはオスカルへの熱い想いを自分ひとりの胸におさめて、一生彼女を見守り続けようと決意していたのでしょうね。
それゆえに、オスカルが密かにフェルゼンを愛していると知ったときのショックは、いかばかりだったことか。オスカルの気持ちが、自分ではない者に向けられていて、それでも、彼女の恋が成就するように願うことしかできないアンドレ。
く〜〜。切なすぎる……!
このあたりから、私の気持ちは思いっきりアンドレさまに傾斜していくのであります。


●オバサンのたわごと(腐り気味なので注意!)

さて、その後いろんな経緯を経て、あーんなことやこーんなことがあって(笑)、フェルゼンへの失恋を乗り越えたオスカルは、ようやくアンドレの献身的な愛に気づきます。
このあたりの展開が実に感動的で、「ようやく想いが通じたね、アンドレ、よかったね〜〜。(T_T)」ともらい泣きしちゃうくらい、アンドレスキーにはたまらない山場なんですよ。
そして、そして、ついに結ばれるふたり。
いわゆるベッドシーンですわね……。(^_^.)
読みながら結構ドキドキしたんですけど(笑)、でも嫌らしさとかは全くなくて、ひたすら美しく感動的なベッドシーンでした。
当時の少女マンガにおいて、こういうシーンが克明に出てくるのはめずらしかったんじゃないかなあ。
覚悟は決めていたものの、いざとなるとやっぱり躊躇してしまうオスカルもかわいいし、そんなオスカルに「もう、待たない」と強く迫るアンドレがすごくステキ。
今までは、(オスカルに対して)力ずくで無理強いすることなんてなかったのに、ここぞという時には退かない男らしさ! かっこいいです〜〜。
しかも「オスカル。もう、待たない」ですよ!
初めてアンドレに「男」を感じたシーンでしたね。

え〜、ここからさらに、オバサンのたわごとは妄想の度合いを増していきます。
ファンの皆さまにお叱りを受けるのは覚悟の上で――。
当時、仲間内で話題になっていたことを取り上げてみたいと思うのですが。
つまり、オスカルとアンドレが初めて結ばれた時、二人は「初めて」だったのか?という疑問なんですね。
もちろん、オスカルの方は疑う余地なく処●だったと思われます。そういうニュアンスのやり取りも出てきたように記憶していますし。アンドレは、ふるえているオスカルに向かって「こわく……ないから……」なんて言うんですよね〜〜。くふ。
では、アンドレは? 彼はこの時「初めて」だったのか?
私的には「NO」です。いえ、もちろん希望的観測なんですけど。
まあ、シチュエーションとしては、お互いに初めてのひとだったっていう方がドラマチックかもしれませんけどね。でも、あの歳で童●はちょっとキビシイんじゃないでしょうか。
オスカルに対する態度も、終始何気に余裕かましてる気がするし(笑)。
こういう現実的な話は、この作品には似合わないんですが、当時は感動でうるうるしていたロマンチスト少女が、ン十年経って、今や醒めた目をしたオバサンになってしまった、ということですね。
もし、お気を悪くされた方がいらっしゃったらごめんなさい。m(__)m
なんだか、どんどん違った方へ話が進んでいきそうなので、今回はこのぐらいにしておきます。
記憶だけで書いてるのがよくないのかも。覚えているシーンのことしか出てこないですから。
もう一度きちんと読み直す機会があれば、またその時はもう少しマシなレビューを書いてみたいと思います。
ということで、皆さま、どうかお許しを。


2007/9/1